今はもう休刊になってしまったある女性誌に、「Tシャツはコミュニケーションツールだ!」というページがあった。なんてことはない、何枚ものTシャツが「ロゴ」や「キャラもの」などど括られて並んだ単純な誌面だったのだが、このタイトルに関しては本当にその通りだと思ったし、今もそう思っている。というか、Tシャツに限らず、ほぼ全ての服はコミュニケーションツールだと思う。
ファッションは自己表現だという言説に異論はないし、事実、私も毎日洋服によって“見せたい自分”を作っている。そしてそれを楽しくやれるというのがまた、ファッションが魔法たる所以だろう。けれど、自分の好みやキャラクター、時に思想までをも服で表すというのは、「人にどんな『私』を提示したいか」という自問への答えでもある。服を着ることは、人との関係や社会のなかでどう存在したいかを表明する手段だとも言える。そして他者に確実に届くように何かを表すことは、コミュニケーションに違いない。
と、小難しくしてしまったが、つまりは「着ているものって人から隠せないし、だからこそ話のきっかけにもなるよね!」という、ただそれだけ・・・。そして、Tシャツほど、表現のキャンバスとしてフラットに機能するアイテムはない。
だから、土産物屋にはTシャツが並ぶのだと思う。カーディガンでもシャツでもなく。
さて、私こと編集クロは、お土産屋さんのTシャツが好きである。デザイン未満の絵柄に、どことなく香るノスタルジー。そこでしか手に入らないユニークネス。加えて、やっぱり思い出は形にして身に付けたい。その思い出に登場するモチーフを好きだったら、なおのこと。
そしてお土産Tを着ることは、服のコミュニケーションツール性をふんだんに使うことでもある。(お気付きのように、ここではコミュニケーション性≒ネタ性でもある) Tシャツから広がるのは、旅の思い出や博物館の感想・・・。自分を知ってもらうのに、お土産Tほどふさわしい服はあるだろうか。つまり、お土産Tはある意味において、もっとも服らしい服とすら言える(かもね)。
だから私はお土産Tを着る。オサレじゃなくてももういいのだ。だって、楽しいんだもん。
(ただし、Tシャツのボディが高品質なことは稀なので、悲しいかな、短い寿命と割り切って着る勇気も必要だ。)

友人と大阪の万博公園に行く前日、仕事で会ったカメラマンさんが太陽の塔のTシャツを着ていて、即触発された。
バックプリントがかなり本気の日本語フォントなので、いまいち勇気がない日はカーディガンを羽織る(そして未だに羽織らずに街に出られたことはない)。合わせたのは、古着屋さんで買ったリーバイス501。どんなTシャツも受け止めてくれる、頼れるボトムスである。
2.
友人とハバナの海沿いを歩いていたら大波をかぶり、着ていたシャツがびしょびしょに。これはお土産Tを買う好機!と近くのホテルのショップに入り見つけた一枚。平和で楽しい音楽が聞こえてきそう。ボディはうすっぺらいんだけど、絵柄部分がポコッとうきあがる加工をされていて、チープさも含めて、気に入っている。
3.
「好きな動物は?」と聞かれたら「ラクダ」と答えることにしている(その質問をされることってほとんどないのだけど)。チュニジアのビーチで実際にラクダに乗ったということもあり、お土産Tにはラクダをチョイス。一応、ちゃんと、刺繍です!
番外編
おまけに、GINZAオリジナルTシャツ。シンプルなTシャツだと、バカかわいいピアスもつけやすい。「OK, Ladies!とハートの組み合わせがいいね」とボスに言われてご満悦。
マイフェイバリットなお土産たち







永青文庫の「春画展」で購入。胸ポケットの下に秘部があるという粋なデザイン・・・。柔らかな素材で、それはそれは女性らしく着られる!
ノルウェーはオスロの国立博物館で発見。グラフィックのように見えるのは、発掘された剣に刻まれていたという古ノルド語。「Man knows little.(人間が知っていることは少ない)」という意味だそう。か、かっこいい・・・。オーバーサイズなので、袖口を折り返して縫いつけてみた。
学生時代に訪れたギリシャの街カラバカで手に入れた一枚は、紺地に白の絵柄が気に入っている。襟・袖・裾は若さの勢いでセルフカット。とあるフェスでこのTシャツを着ていたら、たまたまギリシャ人に会った!引き寄せ力・・?
「ボブディランをレコードで聴く会」なるものに参加した時のお土産。ボディはアメアパ!去年ディランがノーベル賞を取った時に会社に着て行ってみたけれど、誰も気づいてくれなかった(涙)。
父親が出張で行ったスペインで買ってきてくれた。ガウディの設計図か何かがプリントされている。胸元の開き具合や裾に重なる赤など、お土産Tにしてはかなりデザイニー。
ゴジラヘッドを擁する新宿東宝ビルが出来てすぐの時、映画を観た帰りに一階のセブンイレブンで購入。前の編集部から異動する時にスタッフさんが手紙に「ゴジラのTシャツを着たクロさんがすごく印象に残っています」と書いてくれた。
バンド「ハラフロムヘル」のライブでゲット。地色はうすーい黄色で、白Tとはまた使い勝手が変わる。バンド名がカタカナのままデザインされているのがいい。今活動休止中なので、再開してほしいなぁ。







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