「そ、そんな細かいところまでこだわる!?」という「おこだわり人」を紹介する人気マンガ『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』(清野とおる著/講談社)に深く敬意を表し、険しく高い「食の道」を究めんとする人々の「おこだわり」を徹底調査。
食感の4重奏! 最高の目玉焼きの作り方- あなたの食「おこだわり」教えてください。ツレヅレハナコさんの目玉焼き編

立体感があって、
食べごたえがある。
食感がまるで違うから
味の四重奏が楽しめるんです
ツレヅレハナコ≫
食ブロガー。『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)や『ツレヅレハナコのじぶん弁当』『みつめさんは今日も完食』(漫画原案/共に小学館)発売中。
たまご好きに悪い人はいない……なんて言葉は、いまだかつて聞いたことがないけれど、ツレヅレハナコさんと話していると、そう思わずにはいられなくなるから不思議。
「子どもの時からたまごの優先順位が肉や魚よりも高かったんです。親が共働きだったので、自分で用意する3時のおやつは、決まってたまご料理でした。料理といっても、火を使うことは禁止されていたので、たまごかけごはんか、塩コショウを振りかけた溶きたまごにラップをかけて、電子レンジで温めて、ふわーっと膨らませたやつのどちらか(笑)。それをスプーンですくって食べていると贅沢な気持ちになれたんです。一緒に人生を歩いてきたといってもいいくらい、たまごはとても身近な存在。というか、ないとすごく寂しい気持ちになるし、一日食べないと体調がおかしくなるので、今も欠かさず、冷蔵庫に2パックストックしています」
ブームになる前からたまごかけごはんをおやつ代わりに!でも大人になってから愛してやまないのは目玉焼きだそう。
「たまごかけごはんは、ツルッと一瞬で食べ終わっちゃうじゃないですか。それに比べて、目玉焼きは立体的で食べごたえがあるんです。そのためにも焼き方が大切。ベストは、ふちカリカリ、白身プリプリ、黄身の下3分の1ねっとり、上3分の2半熟の状態。もうこれだけですごい要素が詰まっていると思いませんか? 食感がまるで違うから味の四重奏が楽しめるんです。さらにカリカリのふちを切り取って、半熟の黄身につけて食べても美味しい。調味料と油の組み合わせもポイントです。私が今まで経験した結果、たどり着いたのは、サラダ油+塩、オリーブオイル+しょうゆ、ごま油+ナンプラー。どの場合においても完璧な仕上がりを目指すなら、油を多めにたっぷりと使い、対話しながらたまごを丁寧に育てること。だから焼いている時は、電話がかかってこようが、チャイムが鳴ろうが、フライパンから一切目を離しません」
最後の晩餐はコレに決まり。
ツレハナさんがたどり着いた究極の目玉焼きとは?
大きいほうがうれしいからいつもL玉。「たまごに貴賎なし」を合言葉に、特売からブランドたまごまですべてを愛する。道の駅で売っている地域限定も大好き。
軽くて全然こびりつかないから目玉焼き専用として愛用している鉄のフライパン。通称“成田パン”と呼ばれ、人気が殺到し、現在は予約で2年待ち!
油を大さじ1入れて、煙が出るくらいフライパンが温まったら、たまごを割り入れる。フライドエッグのように揚げ焼きにする感じで、中火でじっくりと火を入れる。
ふちが焦げないようにフライパンを動かして調整しながら、黄身を育てる。色が少しずつ変わっていくので、下1/3が濃いオレンジ色になったら、火を止めて完成。
黄身がこんもり盛り上がった素敵なヴィジュアル。黄身に箸を入れるとトロ〜と流れ出る、ちょうどいい半熟感。このまま食べても、ごはんにのせても、パンに挟んでも美味しい。
Photo: Yoko Tajiri
Text&Edit: Emi Suzuki
Illustration: Kahoko Sodeyama
Cooperarion: Chiho Ohsawa, Nami Inoue, turedurehanako