小さな料理 大きな味 51
正解のない混ぜ麺
また暑い夏が巡ってきました。
食べなきゃ元気がでない、夏も乗り越えられない。でも、台所に立つのがおっくうになるのも正直なところ。さて、どうしようか。
私は、汁なし混ぜ麺で乗り切ってみようと思っています。手軽につくれて、一食でいろんなものが摂れるし、思い立ったらぱっとつくれる。
しかも、うれしいポイントがあります。
正解がない。
これじゃなくては、こっちのほうが、などと細かいルールや決めごとがない。そのときどき、手近にある材料を組み合わせて麺にのせれば、もうそれで。
冷やし中華も混ぜ麺の一種だけれど、スタンダードな具のコンビネーションがある。ハム、きゅうり、もやし、錦糸卵あたりが定番で、甘辛く煮たしいたけをのせたり、トマトを添えたり。麺にかけるのは甘酸っぱいたれ、添えるのは辛子。冷やし中華のイメージに寄り添う展開が、ひと皿のなかにはある。
でも、正解のない混ぜ麺は何にもとらわれず、どうしたってそれなりにおいしい。
「それなりに」って、とても大切だと思う。おざなりではなく、雑なわけでもない。なりゆきに合わせて流れのまま、レシピもとくにない。
最近の私の混ぜ麺は、こんな具合です。
■セロリの薄切り+香菜+ゆでて細くほぐした鶏ささみ
■きゅうり、みょうが、大葉のせん切り+じゃこ+白ごま
■肉味噌+さっと熱湯をくぐらせたクレソン
■ゆでた小松菜、もやし、オクラ+ハムの薄切り
■漬物(たくあん、高菜、白菜なんでも)のみじん切り+チャーシュー
肉味噌をたっぷりつくっておくと、四、五日は保存できるからとても便利。豚ひき肉、にんにくや生姜のみじん切りを炒め、醤油、酒、砂糖、味噌で味つけして、こってりめに仕上げると日持ちもいい。香味野菜と合わせれば最強だ。
混ぜ麺の魅力は、カスタマイズの自由さにある。主導権は食べる側にあるのだから、面倒ならポン酢をかけるだけでもいいし、
酢と醤油にごま油を組み合わせてもいい。
麺も、そのときの気分次第でいいんです。そうめん、うどん、中華麺、そば、なんでも。最近気に入っているのは、「肉味噌+さっと火を通したクレソンたっぷり+そば」のバージョンだ。じつは、そばも混ぜ麺にはよく合うんです。そば粉の風味が肉味噌やクレソンをがっちり受け止める。
さて、今日のたれは、練りごま風味でいきます。材料(二人分)はこんなふう。
白練りごま大さじ3 酢大さじ2 醤油小さじ1 砂糖ひとつまみ ラー油少々
思い立ったら、ぱっとすぐつくれるところが気楽でいいんです。肉味噌は多めにつくっておいたもの。苦み走ったクレソンをたくさん食べたくて、私は朝からこれをつくっています。