〈白金台 スラッシュカフェ〉
思い立ったが、ハレの日。まるで絵画のような究極の借景。
記憶の中の八芳園はいつも晴れている。足を運ぶのは決まって大安吉日だからだけど、そのせいで、おめでたい用事がないと行けない聖域だと思い込んでいた。でも「スラッシュカフェ」に初めて足を踏み入れて、それは大きな間違いだと気づいた。外から見るのと、中に入ってみるのとでは、表情が違う。声を大にして言いたい。「八芳園の待ち合わせ、ロビーじゃなくここにして!」と。多分入り口のレジ横を過ぎたくらいがボーダーラインで、そこからぐんと見える景色が変わる。重要なのは窓。この窓枠からあふれんばかりの青と緑は絵画でしかない。額縁をくぐって外に出ると、江戸時代から主人を変え受け継がれてきた、雄大な庭園がぐるり。眼下には鯉が泳ぎ、白無垢の花嫁が記念撮影をする。これぞ天下の八芳園。向こうに頭を出すホーマットのマンションすら、もはやこの風景の一部だ。こうなれば何が出てきても美味しいと言ってしまいそうになるから、いったん深呼吸。ランチコースのメイン、ぺザンハーブを効かせた仔牛のローストは柔らかくとろけて、付け合わせのカブも玉ねぎも美味い。おめでたくなくても全然大丈夫。なんならお茶でも最高。なんでもない日に八芳園を訪れる、いい口実ができた。
写真の「乳飲み子牛のロースト」がメインのランチコース『Farm To Table「太陽と風」』は¥3,800〜、5月末まで。
「スラッシュカフェ」
住: 東京都港区白金台1-1-1 八芳園本館1F
☎: 03-3443-3105
営: ランチ11:00〜14:30・カフェ14:30〜17:00 ・ディナー17:00〜21:30LO、土日祝ブレックファースト8:00〜11:00
休: 無休
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