ザワークラウトというドイツの家庭料理と出会ったのは、十代だった。
外国の物語のなかで知ったのだが、キャベツの漬物だという。へえ、ドイツにも漬物があるのか、と新鮮に思った。身近なキャベツのイメージが一新された気がしたのである。ちょうどその頃、母が買いそろえていた世界の料理シリーズのドイツ編でもザワークラウトを発見し、厚くて大きなガラス瓶にキャベツのせん切りがみっしり詰まっていた。
このところ欠かさず作っているキャベツの酢漬けは、そのザワークラウトの簡単バージョンである。ザワークラウトは、漬けこんだキャベツをじわじわ乳酸発酵させたもの。いっぽう、こっちの日数短縮版は、せん切りに酢をかけ、ショートカットして酢漬けにするというもの。気が短くてすみません、とも思うのだが、ひと晩置いたらさっそく手軽に使えるので、とても便利なのだ。