親愛なるしし座さま、お元気でしょうか?
この前、バルザック原作『幻滅』という映画を観てきました。19世紀前半、宮廷貴族が復活したパリに文才で挑んだ若者の物語です。彼は売れっ子記者として成功を収めますが、己の野望に絡めとられて破滅してしまいます。
運命にはいくつかの分岐点があって、正しく選べば道を誤らずに済むのでしょうが、悪しき道に向かうのも、それなりの理由があり、止まれないし、戻れないわけです。
物語の始まりは「詩人になりたい」という純粋な夢、でも、そこに現実が立ちはだかります。才能を認めて欲しい思いが恋にすり替わり、唯一の理解者を失いたくなくて見栄を張り、空回り、やがて、最初の破綻が起こり、現状打開のために妥協したら、うまくいっちゃった……
これって、どこにでもある話ですよね。最初の夢が自分らしさなのか、それとも、試行錯誤の結果がそうなのか、実際のところ、わからないなって思うのです。