ずっと気になってしまうことってありますよね。もはや連絡が取れなくなった旧友のように、いまさら心配しても仕方ないのに「あの子、あれからどうしたかな?」と考え続けてしまうことって。
映画『フォーチュンクッキー』の主人公ドニヤが、そうなのです。
映画を観る時、私はあまり情報を入れません。だから、勝手にボーイミーツガールのかわいい話だと思い込んで、主人公のドニヤが背負ってきたもの、通ってきた道にたじろぎました。
たった91分の映画の中でしか知らないけれど、彼女には、幸せになって欲しいのです。でも、この先、どんなに素晴らしい幸運に恵まれたとしても、奪われたもの、失ったものを補うことはできない気がする……そこまで考えて、別にこれは、ドニヤに限った話ではないと気づきました。
あなたも私も、誰もが不足や不遇を覚え、傷つき、バランスを崩しています。それはそれ、これはこれ。幸せに過去の埋め合わせをさせてはいけないのです。
