人見知りの僕にとって、役者の仕事には
ちょうどよい“人との距離”があります
デビュー作はNHKで放送されていたドラマ『中学生日記』。舞台である名古屋市周辺に住む本物の中学生を公募して出演者を決めるという、リアリティにこだわった制作スタイルが話題を呼び、50年も続いた人気シリーズだ。東京で生まれ育った岡山さんは、生徒役が全国で募集されることを知り、自ら応募したのだという。
「友達がなかなかできなくて、学校もあまり行ってなかった僕が、唯一、ワクワクしながら自分の意志で突き進めたのが『中学生日記』のオーディションでした。ずっと好きで観ていた番組だったし、人の視線ばかり気にしていた自意識よりも、やってみたいという好奇心が勝ったんだと思います」
オーディションの結果は、見事合格。漫画家を夢見る15歳の岡山天音、本人役を演じることになる。しかし、少しでも人の記憶に残ればと、軽い気持ちであてたパーマによって個性派のキャラクターが定着してしまったのは想定外だったよう。本当はサラサラの直毛なのに、それから3年ほど、パーマの宣材写真の時期が続く。
「僕のことをデビュー当時から知る方には、いまだに『あれ、ストレートパーマかけたんだね』って言われるんです(笑)」
と、はにかみながら話す岡山さん。実際は、どんな学生生活を送っていたのだろうか。
「運動会の日が来ると、大勢の人の前で走って負けるのが嫌で、自分の出番前によく隠れていました。それがクラスのちょっと悪い奴らに見つかって怒られて、また凹んだりして……。授業中、先生に当てられて教科書を読む時も、恥ずかしさと緊張で気絶しそうになったのを覚えています。落ち着くのは、一人で家にいる時間でした。これはいまも変わってません。漫画を読んだり、映画を観たり、絵を描いたり。なかでも『鉄コン筋クリート』や『ピンポン』など、松本大洋さんの漫画は大好きで夢中になっていましたね」