6月22日にリリースされたばかりの、AAAMYYYさんとあのさんのコラボ曲「あの笑み」はもう聴きましたか? この意外とも思える組み合わせ、熱烈なあのちゃんファンだったAAAMYYYさんのオファーにより実現したそう。もともとマインドが似ていた二人は、多くを語らずとも分かり合える、出会うべくして出会った二人でもありました。ということで、AAAMYYYさんとあのさんに、曲ができるまでのお話をきいてきました。
AAAMYYY×あの。相思相愛の二人が、共に歌い上げるハードコアソング「あの笑み」のこと
──お二人はどんなふうに出会ったんですか?
あの 出会いは、居酒屋でした。
AAAMYYY 2年くらい前。ただ、あのときは、いろんな人がいすぎてあんまりしゃべることができなかった。
あの ぼくが人見知りし過ぎちゃった。ホントは、AAAMYYYちゃんの曲が大好きだし、音楽の話をいろいろしたかったのにって、すごく落ち込んで家に帰ったんです。
AAAMYYY 実は私も、あのちゃんのことが昔から大好きで。初めて会ったときに、なんかこう、ファン目線になってモジモジしちゃったというか。私も人見知りなんです。だから、落ち着いてお話しできる機会があればいいなと思っていたけれど、なかなか、世の中的に難しい状況が続いていたし。で、去年の夏、私のワンマンライブが恵比寿のリキッドルームであって。会場へ下見に行ったら、あのちゃんのマネージャーさんがいたんです。彼には昔からお世話になっているので、「わあ、久しぶり。今日はなんですか?」って聞いたら、「この後、あのちゃんのライブがあるんだよ。会う?」って。それで、あのちゃんの楽屋へ行って。
あの そう、楽屋に入ったらAAAMYYYちゃんがいて。うれしかった。
AAAMYYY あのとき、あのちゃんの新しい写真集(あの x 松岡一哲『pegasus02』)が出たばっかりだったでしょ? 私、それも買ってたから。
あの そうだったんだ!
──AAAMYYYさんは、あのさんのどんなところに惹かれましたか?
AAAMYYY ステージに立つと豹変するところ。アーティストとして、同じ歌う立場として、その豹変度がカッコいいなって。
あの うれしい!
AAAMYYY いま思い出したんですけど。私、以前、「GO RETRO」という2人組のユニットをやってたことがあるんですが、池袋で、「ゆるめるモ!」と一緒にライブに出たことがあります。
あの ええ! うそ?!
AAAMYYY そうなんです、実は。
あの サンシャインの噴水広場ですよね?
AAAMYYY そうそう。
あの 結構、昔ですよ、5年、6年くらい前だと思う。
AAAMYYY で、ゆるめるモ!のライブをそこで初めて観て。あのちゃんは一人だけ、異様なオーラを放ってた。そこから好き。
あの なんでいままで言ってくれなかったんですか(笑)。
AAAMYYY 言いたいことがあふれすぎて、言えなくなっちゃった。
──こうやってお話を伺っていると、お二人とも、会話のテンポとか声の質がすごく似てるなって。
AAAMYYY ホントですか? 私いま、歯を矯正しているので、ゆっくりしゃべるようにはしてるんです。あと、人がしゃべってる間に割り込まないように、とか。たぶん、あのちゃんも私も、発声が同じだと思うんですよね。
──発声が同じというのはどういう……?
AAAMYYY 私、普段は何も考えないとこういうしゃべり方で、声がとっても小さいんです。もっと大きい声でしゃべってください、と言われると、すごく張っちゃうんです。強くなっちゃう。
あの わかります。ぼくもそう。自然にしゃべってるのがこのしゃべり声。ウィスパーボイスというか。でも、テレビだと、音が拾えないと音声さんに怒られてしまうので、声をめっちゃ張るんですね。ぼくの声、ホントはこうじゃないんだけどなって思いながら。
──で、今回、「あの笑み」という曲でコラボレーションされました。
AAAMYYY とにかく、あのちゃんと何かやりたいというのは、出会う前から私はずっと思ってて。今回、いろんな人をフィーチャリングして5曲入りのデジタルEP(7/8配信リリース予定の『ECHO CHAMBER』)を作る、というテーマだったので、いちばん最初に、「あのちゃんとやりたいです」と。そうしたら、あのちゃんからもOKがきて。気合を入れて詞と曲を書きました。曲名については、仮で「あのAAAMYYY」としていたんですが、変換ミスで「笑み」になって。あ、これがいいかも、って。
──一聴して、めちゃくちゃカッコいい曲だなって。詞もとってもクールですし。非常にズシッとくるものを感じたんです。あのさんの歌い方も素に近い感じ、というか、AAAMYYYさんの歌声とすごく近いんだなって、しゃべり声だけじゃなく、曲を聴いても思いました。
AAAMYYY あのちゃんの曲は、全部好きで全部聴いているんですが、洋楽テイストの、それこそ今回のようなハードコアとか、そういったテイストがすごく合うんじゃないかなって。ゆるめるモ!のときから、シャウトがめちゃくちゃきれいだから、そういったものを入れたいなとも思ったけれど、意外と、内省するタイプの曲のほうが、しゃべってる感じで歌ったほうが色気が出るなって。実は、あのちゃんのしゃべり方、自分とすごく似てるなと思ったんです。自分の中で咀嚼して歌うタイプなんじゃないかなって。
あの こんなふうに歌えるのがうれしかった。普通のしゃべり声で歌うということを、したいけれど、したことがなかった。だいたい、声を張って歌う、というのは、アイドルのときもそうだったし、いままでも多かった。だから、すごく新鮮だった。曲もカッコいいし、ぼくもハードコアが好きだし、こういったテイストに挑戦してみたいなとも思っていたし。メロディを聴いたときにすごくワクワクしたんです。歌詞もめちゃめちゃいいし。
──「異常なこの世はディストピア」とか「私の宇宙に入らないで 殺さないでよすがを」とか「どう生きようが 何を言われようが 自由だから一生」とか、お二人のグツグツした気持ちを表現してるのかなって。
AAAMYYY 去年、人間関係のイザコザがあって。私は、歌詞で内省して自己完結するタイプなので、思いの丈を詞にぶつけてしまいがちというか。だから、あのちゃんとの曲にそれを入れて申し訳ないなと思いつつ。ただ、あのちゃんがSNSとかで発信するものがすごく好きで、読んでる本だったり、好きな映画だったりに、めちゃくちゃ同意するというか。自分とすごく近しいものを感じて、身勝手なんですけど、自分の気持ちを投影させてもらいました。
あの わかります。ぼくもわりと、本心を言うのがすごく苦手で誤解されやすいところがあって。ただ、どんどん、同調圧力の強い世の中になってきて、それに対して、つぶされないように、わかってもらえなくても自分の意志はちゃんと守ろう、というのはいつも思っていることで。だから、AAAMYYYちゃんの詞を見たときに、ああ、わかる、似てるなって。ホント、二人だけの宇宙をイメージしちゃったというか。結構、空飛びました(笑)。
──詞の中で、あのさんが提案した言葉はあったんですか?
あの AAAMYYYちゃんに「曲を聴いてインスピレーションがあったら、言葉をください」と言われたので、「飴玉」とか「お菓子」みたいな言葉を入れてもいいかも、というのは提案しました。ポップでかわいい言葉を入れたらより際立つかなって。
AAAMYYY そのリプライには衝撃を受けました。こんな暗い楽曲なのにそんなかわいい言葉出てくるなんて。自分にはないポジティビティだなって。
──コラボして仲良くなりましたか? どこかへ一緒に遊びに行くとか飲みに行くとか。
AAAMYYY コロナというのもあって、なかなか。なので、鍋でもしたいなって思ってます。共通の知り合いもいるので、リラックスできる中でもっともっとおしゃべりしたりしたいなって。
あの もっともっと知り合いたいです。
──じゃあ、好きな食べものを教え合いましょうか。一緒に鍋ができるように(笑)。
あの ぼく、すごく偏食なんで、食べもので人と気が合ったことがないんです。だいたい相手が好きなものが「嫌いです」ってなっちゃう。だから、誰かと一緒にご飯食べるの、結構大変なんです。気を使わせてしまうので。でも、鍋は大丈夫です。汁好きなんで(笑)。
AAAMYYY あのちゃんの好きなものだけを鍋に入れましょう。何が好きですか?
あの ぼく、きのこが好きです。えのき、まいたけ、しいたけ、しめじとか。
AAAMYYY いいですね、きのこ鍋。私もきのこは大好き。
あの よかった。好きな食べものは何ですか?
AAAMYYY ズッキーニが好きです。
あの あ、無理です。
──あはははは!
あの ズッキーニが好きって、珍しいですよね。なんか、すごくおしゃれです。
AAAMYYY 私、長野出身なんですが、実家が野菜農家で、家の畑で育てたズッキーニを食べたらすごくおいしくて好きになったんです。
あの 苦手だった食材も、おいしいものを食べると、食べられるようになった、というのはあります。去年、いろいろ挑戦して、食べられる野菜の幅も少しは広がったんです。AAAMYYYちゃんの実家のズッキーニは試してみます、ぜひ。
AAAMYYY そういえば、お酒って、あのちゃんはよく飲みますか?
あの 強くはないけれど、飲みます。ただ、ワインはそんなに好きじゃないし、ビールも飲めないんです。でも、日本酒は好き。甘口、辛口、種類がいろいろあるじゃないですか。そういうのをいろいろ選んだりするのは好き。ただ、あんまり飲まないのに、ちょっとだけ飲んでみたくて買っちゃうから、一升瓶のお酒が家にどんどん溜まっちゃってます(笑)。
AAAMYYY 鍋をするときに、それを持って来てください。みんなで飲みましょう。
あの はい、ぜひ。あと、ぼく、お菓子はなんでも好きです。
AAAMYYY 私も。ぽたぽた焼きとか。
あの 大好きです。ぽたぽた焼き、たま〜に食べたくなる。
AAAMYYY お菓子もいっぱい用意しておきます。きのこ鍋のあと、お菓子食べながらNetflixで『ストレンジャー・シングス』のシーズン4でも観ましょう。
あの 観たいです。ぼく、まだシーズン1しか観てないので、まとめて観たいです。
AAAMYYY すっごく面白いですよ。1980年代の音楽と、超能力と、裏側の世界と。あのちゃん、ドラマに出てくる少女イレブンみたいに超能力を持ってそう。ていうか、持ってると思う。
あの 超能力とかじゃないですけど、カンは当たります。なんか、「わかっちゃう」というか。
AAAMYYY たぶん、めちゃめちゃ洞察力があるんだと思う。初めて居酒屋で会ったときも、しゃべったりはしないけど、人のことをよく観察してる、という印象があって。その人の仕草やたたずまい、しゃべり方、そういうところからいろんな情報を得ているんだろうなって。
あの そうなんです。観察しようと思ってるわけでもないのに、自然と全部入ってきちゃうから、情報量が多すぎて頭がパンクしちゃうんです。それで疲れてしまってしゃべれなくなっちゃうこともありますし。いっぱい見て、いっぱい感じて、それでだいたい当たっちゃう、ということはあります。
AAAMYYY あのちゃんのそういうところがすごく好きです。
INFORMATION
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AAAMYYY
シンガーソングライター/トラックメイカー。2017年からソロとしてAAAMYYY名義で活動を開始。2018年6月からTempalayに正式加入。TENDRE やRyohu(KANDYTOWN)のサポートや、多種多様なアーティストとのコラボレーション、モデル、楽曲提供、CM歌唱提供など、幅広い活動で注目を集める。
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ano
2019年9月にゆるめるモ!を脱退、そして「ano」名義でソロアーティストとしての音楽活動を開始。「デリート」「Peek a boo」といった配信シングルをリリースした。アーティスト活動の傍ら、映画やドラマ、バラエティ番組などさまざまなフィールドでマルチに活躍する。
Photo: Kaori Ouchi Text: Izumi Karashima Edit: Milli Kawaguchi