岡山で芸術交流2022のために、事前に来日してリサーチを行った(Art & Public提供)
──作品にグリーンを多用している理由を教えてください。かつてのインタビューでは、あなた自身の出自にもかかわる「Blackness」と植物の生態系を重ねて考えているとも話しています。昨今の気候変動といった環境問題はあなたの制作や考えに影響していますか?
私の作品の多くは、歴史的なリサーチに基づいています。私は、今現在の状況から逆算し、私たちが理解しているこの世界をつくるために仕組まれたたくさんの力を掘り起こそうとしているのです。私はよく、エコロジカルな現象と、政治や経済的な現象が重なる部分を観察しています。人種が生じることや資本の構築、あるいは国民国家のようなものです。自然界はニュートラルな空間ではなく、それは私たちに見えない形で、人間の残忍な行為を記録しているのです。気候変動による危機は、その顕著な例であり、もちろん、産業と商業が(地球上の)あらゆる生命体への無関心から、ひどい仕打ちを行ってきたことの記念碑です。それだけでなく、この影響は、地球の西側と南側、階級や人種、ジェンダーの間で驚くほど偏在しているのです。この事実は、これらの社会技術が世界の完全な破壊をもたらす原動力になったことを教えてくれていると思います。
Precious Okoyomon, Earthseed, Exhibition view at the Museum Für Moderne Kunst, Frankfurt, 2020. Courtesy of the artist andthe Museum Für Moderne Kunst. Photos by Axel Schneide
──あなたはとても料理が上手だと聞きました。以前は料理を使った作品やパフォーマンスも行っているそうですね。最近も料理を制作に取り入れていますか?また、来日時に食べたもので特においしかったものを教えてください。
食べ物は、ケアの実践として私が一番好きなメディアのひとつです。それは多くのものを形づくり、育んでくれます。だから、私は人々に料理をふるまうのです。時には、あまり人前に出ない大切な人たちをディナーに招待して、サプライズ・ミールをすることもありますし、ニューヨーク周辺で、地域のための無料のポップアップを出すこともあります。
来日した時は、信じられないくらいたくさん食べました!一番おいしかったのは、白桃のパフェ、冷やし蕎麦と天ぷらのセット。とうもろこしの天ぷらは完璧でした! おいしいコーンが大好きなんです。
リサーチ時に岡山の居酒屋で。隣は、同じく岡山芸術交流2022出品作家のアジフ・ミアン(Art & Public提供)
──最後に。あなたのファッションは、とても個性的で素敵です。どんなファッションが好きですか?
私は日々の鎧として身につけるファッションを愛しています。ゆったりしてキュートなもの、それから大きなリボンがついていて、悪魔的にかわいいのが、私のバイブスです。好きなデザイナーはVaquera、シモーネ・ロシャ、彼女もベイビードール風のかわいさがありますね。それから、Chopova LowenaやChaos Princessの奇妙な美しさが気に入っています。私は、自分のハートにある喜びを表現することが、すごく好きなんです。