「私をもう一度、女にしてください 私を書けるのは先生しかいません!」
『やすらぎの郷』 第67話より
うれしいわ。可愛いなんて言ってもらえると。倉本さんはわざと世間知らずの女として冴子を描いているんだけど、まあ、私はそういうタイプですから(笑)。でも、こんなに話題になるなんて思わなかった。シニア層向けだと思っていたらとんでもない。20代30代の若い世代が観てくださって。最初は面白半分なのかしらと思っていたんだけど、「いえ、ドラマ自体が面白いんです」って。それは本当にうれしいことだと思いました。
私が演じる白川冴子は、75歳まで生きるという計画を立て、その通りにお金を使ってたら75歳じゃ死なずに78歳になっちゃって、気づけば貯金がほとんどなくなっちゃうんです。「私、払うお金ないもん……」って。そのシーンが放送された直後、三谷幸喜さんから電話があって。「浅丘さん、なんて可愛いんでしょう。僕、思わず電話しちゃいました」って(笑)。
とにかく、このドラマには考えさせられることがたくさんあるんです。これから老人の数はどんどん増えていきますから、そういった人たちがどういう場所で生きていくのか、残りの人生をどう生きるのか、どんな問題が待ち受けているのか。それを実際この年代でやってますから、病気になったとか、腰が痛いとか、セリフが出てこないとか、いろんな問題が起こるんです。それがオーバーラップするから、どこまでがドラマでどこまでが現実なのか、やってる私たちもわからなくなるくらい(笑)。
マリリン(加賀まりこ)とか石坂(浩二)さんとか藤(竜也)さんとか、昔からのなじみの方々とご一緒できるのはすごくうれしい。石坂さんなんて、離婚してから16年、お会いしたことさえなかった。年を重ねて本当に素敵な役者さんになったなって。石坂さんは主役ですから、全女優さんのお相手をしなくちゃいけないんです。相手の話を長々と聞くシーンが多いんだけど、そのときの石坂さんのお顔がとってもいいの。なんて素敵な顔なのかしらって。私、頭のいい人に憧れるんです。中学2年でこの世界に入っちゃったでしょ。世間を知らず勉強のことも知らず、ずっとこの世界にいましたものですから、本当に何も知らないままだった。だから、何でもご存じのこの方が私の先生になるんだわって。結婚していた頃は、ありとあらゆることを教えてもらいました。
マリリンとは若いときからずっと仲良し。石坂さんを紹介してくれたのもマリリンだったし(笑)。マリリンのほうが年下だから、私は「手のかかるお姉さん」だって彼女は言うけど(笑)。でも、マリリンが好きなコーヒーはいつも私が用意して撮影所に持って行くの。甘くないコーヒー。私が淹れたコーヒーが美味しいみたい。
年をとっても恋は大事。やっぱり輝きが違うもの。思ってる人がいるだけでもいい。だから私、いつも目を光らせてる。「あら、あの人ステキじゃない」って(笑)。ボーイフレンドは3人います。全員年下。私、男っぽい性格だから話をしやすいみたい。お高くとまってるように思われがちですけど、しゃべるとこうですから(笑)。