連続テレビ小説『らんまん』の主題歌として、あいみょんが書き下ろした楽曲『愛の花』。毎朝を彩る楽曲への想いから、自身の音楽活動を種から芽吹くまでになぞらえて語ってもらった。
【インタビュー】あいみょん、花咲く先に続くもの 前編

曲作りの種は生活をするということ
あいみょんさんの楽曲制作について、植物を育てることにたとえた話として聞かせてください。植物は種から芽を出して育って花が咲くわけですが、曲作りにおいての〝種〟はどういうものでしょうか?
種は生活ですね。自分の生活がないと曲は生まれないです。私、自粛期間が始まった時、表に出なかったらできなくなるかもなって思ったんですよ。でも、家で暮らしているだけでもたくさんアイデアが浮かんできて。やっぱり生活をするってことが私にとっては楽曲の種になるって気づいたんです。
日常生活の中で感じたことや思ったことに鋭く気づくようにしている。
めっちゃ敏感ですね。生活している上で「これは曲になるな」って思ったことはすぐにメモするようにしてます。どんな状況でも、たとえばヘアメイクされてる時とかでもスマホにメモります。メロディが浮かぶことはあんまりないので、録音はしないんですけど。そのメモが種になってだんだん咲いていきます。
その種が芽を出すのはどういう時ですか?
私としては、ほぼ芽が出た状態の種を拾ってると思います。もう咲くとわかってるような生活の中のアイデアを拾った時に「よっしゃ!」って思うので。すでに芽吹き始めているイメージです。
芽を出してからすくすく育つものと萎れてしまうものの違いはありますか?
あります。作ってる途中で失速する時はもういい曲じゃないし、無理やり作るよりも捨てますね。自分が歌いたい曲、作りたい曲って、速攻で書き上げられるんですよ。最初はいけると思ったけど失速して枯れ始めたら無理に水はあげないです。
制作において〝花が咲いた〟と自分が感じるタイミングはどこにありますか?
基本的には作詞・作曲全部フルで完成してスタッフさんにデモ曲を渡したところですね。私、基本的に思いつけば毎日楽曲を作るタイプなので。今日作ったものが5年後にリリースされるとかよくあるんですよ。だから私の中ではずっと咲き続けてるんですけど、いつそれが出荷されるかはわからない。アルバムを制作するときはそうやって作ったデモ曲を引っ張ってくることも多いので。タイムラグがあります。
リアルな花と違って、曲は一度咲いたら何年も枯れないわけですもんね。
枯れる曲もありますよ。10代の時に書いた曲とか、今聴くと恥ずかしくてもう無理。それは自分が変わったからなんですけど、あの時は最高と思って渡した楽曲が今はキツくなってたりする。100曲くらいはもう出せないです。
Photo: Naoto Usami Styling: Masataka Hattori Hair&Make-up: Kanako Hoshino Text: Tomonori Shiba