──〈ステファン クック〉はアーガイルニットなど英国人にとっての“日常着”を進化させるデザインアプローチが魅力的ですが、日本人の装いの印象は?
ジェイク ストリートスタイルにびっくりしました。まず初日に訪れた銀座で、着古した上品なコートとスカートに身を包んだ高齢の女性がいたんですが、手にした巨大なトートバッグにはなぜかアニメキャラが大きくプリントされていて。そのコントラストに目を奪われました。
ステファン ぱっと見はごく普通の高齢の男性が、帽子にセクシーな女の子のバッジをつけていたりね。
ジェイク 一人の中に、コンサバティブとポップカルチャーの衝突がある感じが、すごく面白い。
ステファン 日本では、サブカルチャーの熱も感じるよね。「この人はメタルが好きなんだ」「この人はジャズに夢中」みたいなことが全身から伝わってくる人たちに触れて、刺激を受けました。バーやカフェごとに、それぞれ違うカルチャーをまとう人たちのコミュニティがあるのもいい。傾倒している文化を装いで表現する人たちがいるっていうのは、スナップ誌の「FRUITS」とかを通して知っていたけど、実際に目にすることができて感動しました。今のロンドンでは、SNSが全てを均質化してしまったことにより、サブカルチャーは消えてしまったように感じているんです。まあ、ロンドンのティーンエイジャーたちに聞いたら「こんな面白いことが起こってるよ」って教えてくれるかもしれないけどね。