忘れられないシーンや胸を打つ映像の裏側には、必ずスタイリストがいる。もしくは、物語に没入してキャラクターの服装を覚えていない一本にも。気になる5名に聞く、コーディネートの枠を超えたどこまでも深い仕事術。連載 #映画スタイリングという仕事 より。
💭INTERVIEW
Babymixが語る、映画スタイリングという仕事。
個性を豊かに表現するスタイリングの幅
個性を豊かに表現する
スタイリングの幅
「スタイリストは多くの場合、洋服をリースして準備するわけだから、そろえたアイテムのレンジが広いほどキャラクターが細分化される。つまり古着、ラグジュアリーブランド、東京ブランドなどセレクトの幅があればあるほど登場人物たちが豊かになって、よいと思っています」
端正なルックをまとった岡田将生と、今時なストリートふうのいでたちの志尊淳が共演した『さんかく窓の外側は夜』(21)。坂元裕二が脚本を書き下ろし、宮﨑あおいや吉沢亮、菊地凛子など豪華な出演者が勢ぞろいした、Netflix映画『クレイジークルーズ』(23)。この2本の衣装を担当したのがBabymixさんだ。
「『クレイジークルーズ』に関しては、ラグジュアリーブランドに数多くご協力していただきました。それは、出演されていた、名だたる役者さんたちが信頼されているおかげです。この作品には、富裕層や成金趣味、一般的な人々、さまざまなタイプのキャラクターがたくさん登場するので、バリエーションに幅を持たせたスタイルを作ってみたかった。その表現のため、服に力のあるブランドの存在は、とても大きな助けとなりました」
客船内でのパーティやカジノのシーンでは、ドレスアップした俳優たちが集合。圧倒的に華やかな姿は、見ているだけでも楽しい。対して、若いカップルのカジュアルなペアルックなど、衣装によってそれぞれの背景や個性が明確となった好例といえる。本作は、2023年11月の配信開始時に、実力派の出演者とともに、衣装が大きな話題となった。
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Text&Edit_Mika Koyanagi