誰もが知る名曲の誕生秘話を描く『ボレロ 永遠の旋律』(8月9日公開)。1928年にモーリス・ラヴェルはバレエ曲として「ボレロ」を書き上げ、パリ・オペラ座で初演を迎えるや高評価を受ける。しかし意外なことに、この曲はラヴェル本人が最も納得のいっていない作品だった。アンヌ・フォンテーヌ監督は名作曲家の半生をたどりながら、“芸術を生み出すこと”それ自体について考えを巡らせたという。
💭INTERVIEW
『ボレロ 永遠の旋律』アンヌ・フォンテーヌ監督にインタビュー
天才音楽家の曲作りを追体験させる映画「日常の音に、ボレロの主旋律を忍ばせて」
──主人公のモーリス・ラヴェルを演じたラファエル・ペルソナが「フォンテーヌ監督はこの映画で、自分自身のボレロをつくったのだと思います」と話していましたが、腑に落ちました。この作品自体、クリエイションについての映画だと思うからです。ご自身としてはいかがでしょうか?
そのとおりです。ラヴェルは周りで鳴る音や、自分の中で移ろう感情、そういうものすべてをもとに作曲を試みました。時にはスランプに陥りながらも、振付師のイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・ バリバール)から注文を受けたバレエの音楽をなんとか作り出そうと、そればかり考えているような人だったんです。この映画ではボレロという曲が、彼の内でだんだんと進化して、洗練されていくさまを描いています。
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Text& Edit_Milli Kawaguchi