2024年4月に3枚目のアルバムをリリースしたバンド、スティル ハウス プランツ(Still House Plants)。そのサウンドはポストロックに分類されながら、どこかアーシーで温かみがある。不思議な世界観を生み出すジェス(ヴォーカル/写真中央)、デヴィッド(ドラム/写真左)、フィンレイ(ギター/写真右)。音楽イベント「MODE AT LIQUIDROOM」のために初来日を果たした彼らに会いに行った。
英国新鋭ポストロックバンドの素顔とは?
Still House Plantsの3人がトーク!
──日本の読者に向かって3ワードでバンドの自己紹介をするなら?
ジェス うーん、「インテンス」、「ペース」、あとなんだろう…。
デヴィッド 「レス」。
ジェス そうだね!「レス」。
フィンレイ いいね。僕が考えるのは、「オープン」、「構築」、「脱構築」かな。
デヴィッド あと「見る」「速い」「サイレンス」とかかな。
──9ワードももらってしまいました(笑)!スティル ハウス プランツの音楽については「実験的」と言われることもあれば「オーガニック」と言われることも多いですよね。
ジェス 私たちは本当に自然な感覚で音楽を作っていて。だから、「実験的」と言われるのはファニーだなと思うんです。
フィンレイ 3人の関係性は、互いが互いに作用していて、とてもヘルシー。だからこそ有機的な印象も与えるのだと思いますが、同時に、バンドは常に進化し続けている。
──実際にはどんなふうにサウンド作りをしているのでしょう。
ジェス 自分たちをサンプリングすることが多いと思います。セッションをして、ラップトップにその音を録るんです。何度も何度も演奏を繰り返して、何度も聞き返す。そして、そこに出てくる本当に小さな瞬間を捕まえていくイメージ。
デヴィッド 僕にとっては、自分のパートをしっかり覚えるためでもある。でないといつも忘れてしまう(苦笑)。サンプリングしたものを聞き返して、自分で気になる小さなビットを探す。それを次の日のセッションでもう一度やってみる、ということが多いかな。リサンプリングを重ねて段々音ができ上がっていく。
ジェス 音は私たち自身から生まれますが、同じく音楽をやっている友人たちから着想を得ることもあります。影響を受けている音楽の範囲はかなり幅広いかも。それでも、どの音も私たちの音とは似ていない。
──歌詞の前にメロディを作るんでしょうか。
ジェス うーん、同時にできてくる、と言えるかもしれません。メロディと歌詞は緊密につながっているんです。私はサンプルした音をループしながら、その時に自分の感情がどういう方向を向いているのかを見て歌詞を考える。同じものに何度も繰り返し触れていると、それに対して抱く感覚が変わってくるときがありませんか?ありきたりな音楽でも、リピートしているとぐっと心に迫ってきたり。音楽の内部からそうした瞬間を切り取れることは本当に面白いと思います。
Photo_Suguru Tanaka Text_Motoko KUROKI