6月27日、パリファッションウィークで2026年春夏コレクションをプレゼンテーション形式で発表した〈マリーン セル〉。18年のデビュー当時から、ミレニアル世代らしく自然体でアップサイクルに取り組む彼女は今どんなことを考えているのか。会場で話を聞いた。
マリーン・セルが今考えていること
アップサイクルの先駆者へインタビュー

──2025-26年秋冬は今年の3月にランウェイショーを行いましたが、今回はプレゼンテーション形式なのですね。
もちろん、ファッションにとって、ショーがコレクションの世界観を表現するのに最適の形式だということはわかっています。でも、今はブランドの核である服そのものに焦点を当てたい、という気持ちなんです。これまでプレスの方々にはショールームで実際に服に触れ、素材や丁寧に作り込まれているディテールを見ていただく機会はあまりありませんでした。そこで今季は、ショップのようにサンプルをラックに並べて発表することにしたんです。貝殻をリメイクしたイヤリングをはじめとするアクセサリーは、美術館をイメージして額縁に入れて飾っています。


──今季は「THE SOURCE(起源)」をキーワードに掲げていらっしゃいますが、どのようなコレクションなのでしょうか?
身につけても、ハンガーにかけてあっても、それ自体で強い存在を放つピースを作ることを目指しました。そして、デイリーユースからナイトアウトにまで対応できるよう、動きやすさを重視してデザインしています。
たとえばメタルのパーツとドレープでアイコニックな三日月のモチーフを形作るドレスがありますが、こちらを着用して灼熱の太陽のもと1日を過ごしたら、胸元にムーンプリントが現れるかもしれません。

──なるほど、日焼けで作るタトゥーのような感じですね!
そうですね(笑)。シンプルですが、とても洗練された発想だと思っています。また、遠くからだと高価なレザーのように見え、実はパイソン柄のプリントが施されたコットン生地を用いているピースもあります。ラグジュアリーな見た目にも関わらず、ウェアラブルであることを重視したかったんです。価格も適正でなくてはいけません。

Text_Itoi Kuriyama