2010年に公開された小栗旬初監督作品『シュアリー・サムデイ』で子役時代の北村匠海は初めて綾野剛と共演した。それから13年。Netflixシリーズ『幽☆遊☆白書』で主人公・浦飯幽助と最強の敵・戸愚呂兄弟の弟として再共演。3度目の共演が映画『愚か者の身分』(10月24日公開)だ。本作で北村が演じるのは闇ビジネスに手を染めながらも、自らの誘いで同じ世界に足を踏み入れたマモル(林裕太)を弟のように気に掛けるタクヤ。タクヤを闇ビジネスに誘ったのは、綾野が演じる梶谷だ。一度入ると抜け出せない闇ビジネスを舞台に繰り広げられるスリリングな逃亡劇を通して、北村と綾野はどう共鳴したのだろうか。
北村匠海×綾野剛 映画『愚か者の身分』インタビュー
世代を超えて共闘するふたり「上の世代も下の世代も眩しいから頑張れる」

──『愚か者の身分』では、闇ビジネスに手を染めたことで視力を失ったタクヤが梶谷と向き合うシーンが特に印象的でした。あのシーンを通して、綾野さんという俳優にどんな存在感や魅力を感じましたか?
北村 一番に感じたのは優しさです。剛さんって優しいんですよ。でもきっと尖ってきたからだなと思ってて(笑)。剛さんとは(小栗)旬さんが監督した『シュアリー・サムデイ』で出会って、勝手ながらずっと身近な存在に感じてきました。『東京リベンジャーズ』をやるにあたって真っ先に「僕たちの世代の『クローズZERO』を作ろうぜ」っていう気持ちがあったり。『クローズZERO Ⅱ』の剛さんって誰とも口を聞いてないんじゃないかと思わせる凄みがあったんですよね。『シュアリー・サムデイ』の後、『幽☆遊☆白書』でまた共演することができましたが、決して棘が取れて丸くなったわけではなくて、棘はいつでも抜けますよという感覚を持ちながら下の世代と同じ目線でいてくれる優しさを感じました。今回は梶谷を通して声だけで優しさを感じさせてくれて、剛さんだからこその安心感がありました。

綾野 ただ人見知りだったんです(笑)。裸で刀を振り回すのではなく、丁寧に研いで、丁寧に鞘にしまい、いつでも抜く準備ができていると言いますか。刀は傷つけるものとして使うのではなく、時代を切り拓いたり、作品の行く末のためだったり、直感的なものだと思っています。北村匠海という役者にはスタイルがあり、そのスタイルは作品によって何変化もします。人間としても温かく思慮深く、とても素敵な男なのでシンプルにすごく好きです。
北村 (笑)
綾野 そして尊敬しています。僕は仲間とともに、作品を見てくださる皆さんの日常を少しでも彩りたいと思っています。良い作品を生むことができたら次はまたそれを越えるような作品を生み出さなければいけないと考えていますが、匠海とならそういう作品が作れるんじゃないかと思わせてくれる。幸せなことです。

【北村さん】レザーシャツ ¥423,000、タンクトップ ¥69,000、パンツ ¥129,000、ネックレス上 ¥45,000、ネックレス下 ¥50,000 (以上ルメール|エドストローム オフィス) 03-6427-5901 /その他*スタイリスト私物
Photo_Kanta Torihata Styling_Yusuke Sasaki(Ayano), TOKITA(Kitamura) Hair&Makeup_ MAYU ISHIMURA(Ayano), Asako Satori(Kitamura) Text & Edit_Kaori Komatsu