──『映画ラストマン -FIRST LOVE-』に出演することが決まったときの気持ちを教えてください。
まずは、新しいチャレンジができるということをすごくうれしく思いました。もちろん心配もありましたが、ワクワクのほうが大きかったですね。いざ撮影現場に入ったら不安はすぐに消えて、この映画に出ることを決めてよかったと思いました。今回の映画は母国語で演技をするわけではないので、自分以外の相手のセリフもあらかじめ覚えたうえで、リアクションをある程度計算しておく必要がありました。でも、このやり方には最後までなかなか慣れませんでしたね(笑)。ただ、撮影が進めば進むほど、そういった慣れないこともカバーできるくらい、現場の雰囲気がわかるようになっていったのはうれしかったです。
──今回演じたクライド・ユンはどんな人物ですか?自身と似ているところはありますか?
まず、僕は演じる役柄と自分との間に共通点はないと考えるようにしています。自分との共通点を見つけてしまうと、それにとらわれがちになると思うんです。なので、ユンはアメリカから来た捜査官という設定だから、ほかの登場人物よりも自由とか柔軟とかそういう考え方をする人だろうな、くらいの大枠で捉えつつ、そこから監督といろいろ話し合って、自分の中でユンという人物像を少しずつ固めていきました。僕よりも監督の方がはるかに役柄についてご存知ですし、監督はユンだけでなく、ほかのキャラクターの人となりや関係性も把握していますよね。なので、監督と対話したうえで役を掘り下げるのが一番なんじゃないかなと。その結果、僕が思い描いたユンという人物は、まずはいろんな意味で我が強く、みんなから認められたいと思っている人でした。ただし、一見冷たそうなんだけれど、心の中にはちゃんとやわらかい部分、あたたかさを持っている人なんです。自分の気持ちを表現することにためらいがない、自由な人柄だと思いました。
──初めての日本での映画撮影でしたが、現場の雰囲気はどうでしたか?
僕って初対面の人と親しくなるのに時間が必要なタイプなんです。なので、最初はぎこちなかったんですが、2回目にみんなと顔を合わせたときには、また会えてうれしいという気持ちが芽生えていました。全員が同じ目標に向かって進んでいく現場だったので、撮影も楽しくて。撮影に入る前に「このシーンはどうしよう?」といった真面目な話もしましたし、休み時間にはみんなで冗談を言ったり、ふざけ合ったりしていました。永瀬廉さんからは英語を習いたいと言われたので、lightとrightの発音の違いを教えたこともありました(笑)。
みなさんの優しさがよくわかるエピソードがひとつあります。撮影で函館に行ったのですが、到着した日に出演者のみんなで親睦を深めようということで、福山さんと大泉さんが中心になって夕食の席を設けてくださったんです。福山さんはいろいろなお話をしてくれて僕にも話を振ってくださったり、大泉さんは普段から面白い方なのですが、そのときも面白いことを言ってみんなを笑わせてくれたり、場を盛り上げてくれました。その機会があったおかげで、みなさんとより早く仲良くなれたと思いますね。大泉さんは、僕が先に撮影を終えて出たときに「君が現場にいなくてさびしいよ」とLINEを送ってくれたこともありました。本当に器の大きい人で、尊敬しています。