今年で28歳。以前の好青年というイメージから、気がつけばぐっと大人の雰囲気が漂う、演じることにストイックな俳優になっていた池松壮亮さん。あまり話すことは得意ではないと言いながら、質問にひとつひとつ丁寧に答えてくれ、ときどき見せる屈託のない笑顔は青年時代と変わりなく印象的だった。公開を控えた主演映画『君が君で君だ』では、恋に落ちた女性が好きな有名人、尾崎豊に扮して人生を送るダメ男を熱演。作品のこと、プライべートのことなどを訊く10の質問をした。
子役から表現者へ。池松壮亮を知るための10のこと
──Q1. 本作ではストーカー、今までも引きこもりやニートを演じ、年々、困った人の役柄が増えています。自ら選ばれているのでしょうか。
(笑)。ありがたいことにいろいろとお話をいただいて、特に偏って選んでいるわけではないです。俳優という職業柄もあり、自分自身が毎日決まった時間に起きてきちっとネクタイを締めて過ごすことできない、社会不適合者な部分があるので、そういう内面が役に影響しているのかも知れませんね。それに、表現についても、どちらかというと弱者のためにあるのではないかと信じていて、光が当たらない人たちに共感することが多いです。
──Q 2. 作中では、ひとりの女性に熱狂する男性3人の集団心理やヒステリーが描かれています。尾崎豊として気持ちを爆発させる姿が印象的でしたが、撮影中に心がけていることはありますか。
現場では、なるべくフラットにいるようにしています。俳優に限らず、誰かと働くということは、自分の感情に誰かの感情がたくさん入ってくることじゃないですが。そういうものに左右されないように、極力0の位置にいれるようにしています。
──Q3.描かれているような、我を失うまで何かを好きになり、のめり込んだ経験はありますか。
自覚しているものはないです。特にこの作品は、人を好きになることについてです。それも自分の中ではないですかね。何かを信じすぎることは危険なことだと思いますし、執着が強いタイプだからあえて避けているのかもしれないです。
──Q4.『君が君で君だ』というタイトルの意味は、様々な解釈ができそうです。どのように考えていますか。
この題名、ちょっと変ですよね。作中では「僕が僕で」という歌を歌っているわけですし。でもこの解釈は、僕が言わないほうがいいのかもしれません(笑)。観る方々にその解釈は委ねます。タイトルをきっかけに映画を観てみてください。
──Q5.好きな映画監督はいますか。好きな作品があれば教えてください。
テレンス・マリックとハーモニー・コリン。作品は『シンレッドライン』、と『戦場のメリークリスマス』が好きです。あんな表現ができたら、映画なんてやめていいと思えるくらい好きな作品。戦争映画で人間賛歌をできるってすごいことだと思います。
──Q6.是非、好きな恋愛映画も教えてください。
恋愛映画は、ずっと苦手だったんです。まるで、よく終電間際に改札の横で見かける男女の光景を見ているようなところがあるじゃないですか(笑)。そんな男女のことは改めて言われなくても、分かっているしと思ってしまう。でもイ・チャンドン監督の『オアシス』は、19歳の時に観て衝撃的を受けた作品でした。障害を持つ方の話なのですが、人を好きになることの偉大さを教わりました。目が離せなかったです。
──Q7.オフの日は何をして過ごすのが好きですか。最近、何か購入したものがあれば知りたいです。
お酒を飲むことです。こだわりはあまり無いですが、焼酎を飲むことが多いですね。最近、書斎用に木の机を買いました。引っ越しをしたのですが、ずっと段ボールを代用していたので嬉しいです。
──Q8. 今日、現場に入った時の私服(ハットにサイズが大きめのトップスとベージュのスラックスというかスケーター風)も素敵でしたが、ファッションのこだわりがあれば、教えてください。
着やすい、脱ぎやすいってことですね。インドアなタイプで、現場と家の行き来が多いので。こだわりは、俳優として表に出るときは色を纏いたくないと考えています。理由は、必要以上に情報があると、言葉が届かなくなってしまう気がしてしまうから。作品では十分に色を出していると思うので、その姿を見ていただきたいと思っています。
──Q.9演技の道を選んだきっかけはお姉さんだと聞きました。ご兄弟が多いですが、仲はいいですか。
姉、自分、弟、妹。4人も兄弟がいると、色んな組み合わせがあるんですよ。敵、味方も変わるし。なので、周期的に変わりますね。キャンペーンではないですけど(笑)。でも同性同士の方が仲はいいかな。
──Q.10ご出身の福岡県は、美味しい食べ物が豊富な県ですね。おすすめの食べ物を教えて下さい。
18歳の時まで住んでいましたが、棒ラーメンというインスタントラーメンがあります。小さい時は、とんこつ味が好きでよく食べていました。おいしいですよ。ときどき、東京でも買っています。
衣装 全てスタイリスト私物
『君が君で君だ』
監督・原作・脚本:松居大悟
出演 :池松壮亮、キム・コッピ、満島真之介、大倉孝二、高杉真宙、向井理、YOU
制作:レスパスフィルム
配給:ティ・ジョイ
2018年7月7日(土)七夕 全国公開
ⓒ2018『君が君で君だ』製作委員会
https://kimikimikimi.jp
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池松壮亮
1990年生まれ。福岡県福岡市出身。2001年、劇団四季ミュージカル「ライオンキング」のヤングシンバ役でデビュー。トム・クルーズ主演「ラスト サムライ」でスクリーンデビューを飾り、実写版「鉄人28号」で初主演を務めた。以後、映画とドラマを中心に活躍中。