ファッションやアートなど、さまざまな分野の表現者たちが作りあげたプライベートルームを拝見。もの選びの基準、色彩へのアプローチ、スペースの捉え方。それぞれが追求する“居心地のよさ”とは?
🛋LIFESTYLE
デザイナー・川口ユリナ「優しいグレーに、気持ちが整う」|クリエイターたちの快適空間に潜入 vol.8
優しいグレーに、気持ちが整う
川口ユリナ
デザイナー
「とにかく広い窓が、この家を購入した決め手。カーテンもつけず、光のうつろいを1日中楽しんでいます」
谷尻誠率いるSUPPOSE DESIGN OF FICEに設計デザインを依頼した自宅兼アトリエは、川口ユリナさんが培ってきた美意識を体現する場所だ。
壁やテーブル、窓下の本棚などは柔らかくあたたかみのあるグレーで統一。床や棚、引き出しの木材は、表面に白い塗料を塗り込み、あらためて削り出したもの。ナチュラルになり過ぎない風合いを意識したという。
「部屋全体で見た時、色のコントラストが強くならないように…。室内にいろんな色があるともの作りに集中できないんです。自宅でデザインすることが多いので、リフォームでは〝目に優しい色調〟を一番重視しました」
着物や食器、食事など、自身の好きなものを語る上で和の要素は欠かせない。
「自分のベースにあるもの。日本の陶芸家の器コレクションも年々増えています」
静謐に整えられた部屋と、深い愛情が注がれる器やオブジェ。審美眼が導いた住まいは、穏やかな空気をまとっていた。
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川口ユリナ
〈20,000,000 fragments〉や〈Shinzone〉〈JANE SMITH〉など、数々のブランドのデザイナーを経て、2019年春夏コレクションより〈Yurina Kawaguchi〉をスタート。
Photo: Yuka Uesawa Text: Sakiko Fukuhara, GINZA