デンマークの首都コペンハーゲン(CPH)を拠点に活動するフォトグラファー 松浦摩耶さん(@mayanoue)による連載。第2回は、お祭り気分の6月のコペンハーゲンについて。前回の記事はこちら。
夜な夜な踊るデザイナー、街を走り抜けるスケーター、街中をパレードする卒業生。お祭り気分のデンマークより、mayanoueのCPH通信 02
コペンハーゲン、気温28℃、晴れ。 日本の猛暑とは比べものになりませんが、こちらデンマークも今年はとにかく暑い…。毎年急に冷え込んで雨が降ることが多い6月中旬のミッドサマーも、今年は快晴。年に一度か二度あるどうかの夏日が数週間続いています。
何が大変って、こちらは暑さへの対策がないこと。屋内にエアコンもなければ、美味しいアイスラテだってない。うっかり外で数分過ごせば、鋭い日差しであっというまに日焼けしてしまいます。
そんな夏日が続くデンマークの6月は、イベントが盛りだくさん。今回はお祭り騒ぎのデンマークの様子をお届けします。
デンマークデザインの祭典
『3daysofdesign』
6月中旬、3日間にわたって行われたデンマークデザインの祭典『3daysofdesign』。街中のいたる場所で、インテリアショップや家具メーカーがそれぞれに展示やパーティーなどを行います。コロナ期間中もこじんまりと開催されていましたが、今年は各国のルールも緩和されたことで、海外から多くのデザイナーやジャーナリストがコペンハーゲンに集まり、それはそれは賑やかでした。
リニューアルオープンしたばかりのデザインミュージアムの中庭には、創業150周年を迎える〈Fritz Hansen〉のパビリオンが登場したり、デザインブランド〈PLEASE WAIT to be SEATED〉からは日本でも注目の集まるFaye Toogoodの新作が発表されたりと、注目の展示も盛りだくさん。
夜な夜な踊るデザイナー、街を走り抜けるスケーター、シャウトするヘビメタファン
20周年を迎えた〈HAY〉は、海辺のLangelinie Pavillonenを貸し切って盛大にパーティー。会場には今回HAYとのコラボレーションのテーブルウエアをデザインした、NY在住のフードデザイナーLaila Goharによる、巨大いちごのケーキが登場。チボリの鼓笛隊もやってきて、ドリーミーにパーティーは始まりました。
開始早々、荒れ狂う巨大いちごケーキ
今回はデザイナー(大御所)自らDJするという愉快な展開で、すっかり日本のカラオケのような懐メロメドレーに。夕陽でピンクに染まった水辺を背景に、夜中まで踊り続けていました。
しばらくして外から何度か爆発音が。なんだろと窓の外を見てみると、対岸のRefshaleøenから炎…!? びっくりしていると、隣にいたデザイナーのおじさまが、「あれはCopenhellっていうヘビメタのフェスだよ」と教えてくれました。どうやら彼もヘビメタファンで、そっちのフェスにも行きたかったのだとか。Copenhellの方向に向かってシャウトしてました(笑)
踊り続けて、気づけば午前4時。暗くならない北欧の夜は、うっかりこういうことがあるのでアブナイアブナイ。
そんな帰り道で出会ったのは、道路を滑走するスケーター集団。どうやらほぼ同じタイミングでスケボーの世界イベント「CPH OPEN」が行われていたらしく、スケーターでデザイナーの友人はスケボー片手に展示を回っていました。みんな夏は忙しいね〜。
隣でスケーターたちも一緒に眺めてた朝焼け
夏の風物詩、卒業生のパレード
最後に忘れてはいけないのが、「studenterkørsel」という毎年恒例の卒業生たちのパレード。高校の卒業式を終えた学生たちがトラックを貸切り、爆音の音楽とクラクションとともにクラスメイトの家を1日かけて回りながらパレードするお祝いです。
卒業の証である白い学生帽を被ったティーンたちが、ビール片手にトラックの荷台で歌って踊る姿に、拍手でお祝いする大人たち。「夏だものいいじゃない。存分に騒ぎなさいよ」と隣のおばさんが言います。
夏を理由にやさしくなる街、コペンハーゲン。今年も夏がきてよかった。
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松浦摩耶
Instagram: @mayanoue