ginzamag.comの人気連載がGINZA本誌3月号「個性あふれるお部屋」特集に登場!俳優の伊藤万理華さんはいつだって好奇心に富んで創作意欲はノンストップ!尊敬するクリエイターの頭の中を覗き込むべくとびきりギークなお部屋へ。
伊藤万理華「誰かのホーム・スイート・ホーム」 特別編 vol.1
アレキサンダー・ジュリアンさん
生け花における三大流派の一つ「草月流」の師範であり、自ら“闇花屋”と名乗るアレキサンダー・ジュリアンさん。草月流をベースとしながら、ファッションやアート、フードなどさまざまなアーティストとのコラボレーションによって新しい地平を拓くその姿に、伊藤さんはすっかり感化されたのでした。コロナ禍に仲間と趣味で巡っていた団地への愛が高じて部屋を借りてしまったという、ジュリアンさんのアトリエ兼住居を訪問。取材中、突然始まった即興の“生け花教室”の結果はいかに…!?
アレキサンダー・ジュリアン(以下、ジュリアン) お久しぶりです。どうぞ気軽にジュリアンって呼んでください。
伊藤万理華(以下、伊藤) 急に呼び捨てにできないです(笑)! ジュリアンさんには、私が2022年に展示を開催した時、植物アレンジで入っていただいて。もともと作品を拝見していてファンだったので感無量でした。
ジュリアン 展示のテーマが美しい花を見せることではなかったので、千葉の房総半島から蔦をとってきて、ワイルドめに仕上げました。
伊藤 ジュリアンさんのインスタを拝見していると、ファンシーな作品もたくさん投稿されていて、まだまだ正体不明なので今日はいろいろとお話をしてみたかったんです。ちなみになぜ団地に部屋を借りようと思われたんですか?
ジュリアン コロナ禍で外食できなかった期間、商店街のある団地で飲む、という遊びを思いついたんです。酒屋で酒を買い、惣菜屋で惣菜を買い、外のベンチで楽しむ。いくつか回った中でも、ここ鶴川団地は特に気に入りました。だんだんリサーチが盛り上がり、アーティストの仲間と一緒にZINEにまとめてみることになりまして。そこから、さらにリアルな団地ライフを知るべく自ら住んでみることにしたんです。
伊藤 すごい団地愛。アトリエとしても住居としてもよさそうです。
読書と生け花に没頭できる部屋
ジュリアン この部屋で暮らしているのは週3日ほどです。日中は陽が差し込んで気持ちいいので、本を読んだり、仲間を呼んで生け花会を開いたりしています。
伊藤 生け花の師範なんですもんね!ジュリアンさんはどのようにお花と出合われたんですか?
ジュリアン もともと叔母が生け花教室をしていて身近だったんですけど、大学を卒業する頃に、企業の就職になかなか興味が持てず生花店で働くことにしたんです。お花屋さんって特殊で、たとえば店頭でお客さんから「3000円で、マダムに向けた上品な花束を作ってください」って言われて、即興で、自分のセンスで束ねたものを目の前で喜んでもらえる。それが面白いなと思ったんです。料理に近いかもしれません。
伊藤 そこから、どのようにして個性派のフラワーアーティストに…!?
ジュリアン 生花店に勤めていると、だいたい3〜4年で同じくらいのスキルになるんですよ。そこから観葉植物や樹木など、他ジャンルにも興味を持ちつつ僕は特に生け花を勉強したくて、地元にいたユニークな草月流の先生につくことにしたんです。他にはないキャラになろうと思って。
Model_Marika Ito Photo_Takao Iwasawa Text&Edit_Satoko Muroga Title logo_Alexander Jyulian