日々の生活に役立つ道具としてだけでなく、空間に置くだけで美しい風景が広がるアートピースのようなクラフトを集めました。#暮らしで使いたいオブジェ
暮らしで使いたいオブジェ【スツール編】
際立つ素材の魅力

1 北田浩次郎
丸太から削り出した圧巻の造形
二つの半円柱パーツを互い違いにバランス良く積み上げたように見えるが、実はスギ材の塊から丸ごと削り出したもの。作家の北田浩次郎は1989年兵庫県生まれ。宮大工としてのキャリアを経て、現在は大阪を拠点に活動している。年輪や木目といった木が本来持つ自然な美しさはそのままに、緻密な計算と巧みな技術によってミニマルながら、迫力のあるオブジェを作り上げている。H40×W40×D40cm ¥187,000(北田浩次郎)
2 タジミカスタムタイルズ
視点の転換から生まれたタイル家具
岐阜県多治見市の伝統のタイル技術に新しい活路を見出すプロジェクト「タジミカスタムタイルズ」から、イギリスのマックス・ラムと開発した〈ワーキングタイル〉。角や端に使われる役物(やくもの)と呼ばれるタイルのサイズを拡張しながらリデザイン。スツールやテーブルとして活用できる“タイル家具”を発表。マットな風合いのブルーとホワイトの目地のコントラストも美しい。H40×W45×D45cm ¥605,000(リヒト)
3 中囿義光
心躍るポップな色とかたち
鮮やかな色彩と軽快な遊び心に満ちたポップさが際立つ陶製のスツール。ペンキ缶にも似た工業的なフォルムだが、持ち手のような部分も陶でできており、ディテールに細やかな手仕事の跡が見られる。天面に施された銀彩が経年変化によって次第に趣きを増していくというコントラストも面白い。現在は岐阜県多治見市にアトリエを構え、スツールのほか、網状のボウルなども手掛けている。φ25×H21cm ¥49,500(イエナイ大阪)
4 石黒幹朗
落ち葉と鹿皮による“立体絵画”
京丹波北部の豊かな自然のなかに工房を構える石黒幹朗。美しい森の景色を、刻々と移ろう時や生命の営みそのものと捉え、その様子を克明に作品に刻み込んでいく。ずらしながら積んだ合板の周りに、森で拾い集めた落ち葉を細かく砕き、膠で固めて成形。天面には森で狩猟された鹿の皮を落ち葉で染め上げ貼った。石黒は落ち葉のフレームで鹿のシボ皮の美しさを堪能する“立体絵画”だと考えている。φ18×H38cm ¥242,000(水犀)
5 梅本敏明
工業材からつくるアノニマスオブジェ
工業用に用いられる合板を成形し、さまざまな立体オブジェを作り上げていく梅本敏明の〈Plywood Objects〉シリーズ。一般の規格材を用いることで、木の品質や木目といった固有の表情に振り回されることない、自由でアノニマスな存在を目指している。縦横に置き方を変えるだけで、多様な用途やレイアウトが考えられる。眺める角度によって奥行きが消え、平面作品のように見えるのも面白い。H36×W61×D41.3cm ¥132,000(リヒト)
Photo_Junpei Kato Styling_Yumi Nakata Flower_fiore soffitta Text_Hisashi Ikai
