クリーンでミニマルなテイストに、日本でもファンが多い、ロンドン発のファッションブランドSTUDIO NICHOLSON(スタジオ ニコルソン)。2023年7月14日、日本初の旗艦店「STUDIO NICHOLSON AOYAMA」がオープン。ウィメンズとメンズ両方のアイテムがフルコレクション、そしてアクセサリーやレザーグッズ、シューズもラインナップ。オープンに合わせて来日した、デザイナーのニック・ウェイクマン(Nick Wakeman)さんに、ブランドの魅力や新旗艦店の特徴、着こなしのコツなどをうかがいました。
青山に待望の旗艦店オープン!デザイナーのニック・ウェイクマンに独占インタビュー

──青山にできた旗艦店のコンセプトを聞かせてください。
ロンドンのフラッグシップと同じで、「グッドクラフトマンシップ」です。店内の什器は2021年にソーホーで開店した際に私がデザインしたものです。自由にレイアウトを変えられるモジュール式で、キャスターも付いています。
私はミックスマテリアル(素材)が好きで、青山店もそうしています。だから、店内はシャイニー、マット、ウッドなど、質感の異なるミックス感を意識しました。床はジェルを塗ったようなつやめきを帯びているのです。マットな棚板などとのコントラストがうまく出せていると思います。

──素材の魅力を最大限に活かす「ファブリックファーストの理論」とは?
テキスタイルをたくさん勉強してきました。素材が大好きなのです。むしろ、洋服よりも生地が好きと思えるほど。もちろん選ぶのも好き。イタリアの工場では自分たちのオリジナルを作っています。
いつも素材を選ぶ段階で、こういうシルエットの服を作ろうと想像しています。仕上がったら、どういった動きが出るかも考えながら。重要なのは、生地とデザインとのマリアージュ(相性)。素材と形の関係はすべて私が決めています。(スケッチ、パターンから入るのではなく)素材から入る「ファブリックファースト」は、ほかのデザイナーとは違うところかもしれません。
私の母は裁縫がとても上手でした。子どもの頃から私の服は全部、母の手作り。生地を母と選ぶことも多く、素材への興味は子どもの頃から自然と養われてきました。私のファッションキャリアは人生のとても早い段階にファブリック選びから始まっていると言えます。
スタジオ ニコルソンの生地のよさは、触れれば誰にでも感じてもらえるはず。言ってみれば、ものすごく上質なテキスタイルなのに、価格帯はラグジュアリーではないミディアムプライス。だから、若い世代にもこの着心地を味わってもらえると思うのです。
──デザインをする上での着想源を教えてください。
本や映画、音楽、サブカルチャー、雑誌、図書館など、たくさんの着想源があります。私は(ファッション名門校)セントラル・セント・マーチンズへのフリーパスを持っています。だから、いつでもライブラリーで資料を借りられるんです。
1970~90年代の映画や音楽が好きです。雑誌は90年代、特に(高感度のファッション・カルチャー雑誌の)『i-D Magazine』が好き。セントラル・セント・マーチンズには、『i-D Magazine』の第1号から最新号までそろっています。この図書館にはもちろんファッション雑誌も収蔵されているので、しょっちゅう通っています。
ストアオープンイベントのためにスペシャルリミックスしたカセットテープ(非売品)を、私がつくりました。レトロ感やアナログ感じがいいですよ。

Photo: Miyu Yasuda(portrait)、Tomoe Miyake(cassette tape) Text: Rie Miyata