2023年の大晦日は4年連続で『紅白歌合戦』に出場し、明けて1月は朝の情報番組『ZIP!』の金曜パーソナリティを務め、3月には初のアリーナ公演4DAYSを開催予定と、2024年もパワー全開のmiletさん。1月31日にTVアニメ『葬送のフリーレン』のエンディングテーマ曲やCM曲など全4曲が入ったEPをリリースするということで、曲作りのことからファッション、趣味のことまで、いろいろとお話をうかがってみました。
milet『葬送のフリーレン』ロングインタビュー
出かけるときはまずプレイリストを作るんです
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生と死について考えさせられた『葬送のフリーレン』
──TVアニメ『葬送のフリーレン』のエンディング曲「Anytime Anywhere」がめちゃめちゃ心に刺さると評判です。miletさんはもともと原作漫画を熱心に読んでいたそうですね。
そうなんです。私は、異世界転生ものやファンタジー、魔法ものが大好物。『葬送のフリーレン』は「マンガ大賞2021」の大賞に選ばれたときから注目していましたし、いちファンとしてずっと読んできた作品だったので、曲のオファーをいただいたときはとってもびっくりしました。
──作品のどんなところに惹かれるんですか?
RPGのような世界観なんですが、いままで観たり読んだりしてきたものとはアプローチがちょっと違っていて、人の心の内側にフォーカスを当てた物語なんです。千年以上生きてしまうエルフ(注:魔力を持つ妖精)のフリーレンが主人公で、彼女が見て感じる人間の弱さや強さ、業を描いているので、私たちではわからないような視点で疑問を投げかけてくるし、その答えも突きつけてくる。哲学的な視点を持つ作品だなって。なので、お話いただいてから、既に読んではいたものの、何度も何度も読み返して、フリーレンの立場になって考えてみたり、フリーレンを取り巻く人たちの気持ちになって考えてみることもありました。
──作品と真正面から向き合って生み出された曲なんですね。
穴が空くほど向き合いました。いちファンとしてみなさんと同じ目線でこの作品と向き合い、私だから感じられることを、「Anytime Anywhere」や「bliss」(注:初回2時間スペシャルの特別エンディングテーマ曲)では歌いたいなって。とにかく、生きることや死ぬこと、来世のこと、フリーレンが投げかけてくる疑問のようなものをものすごく考えましたし、いまの自分の生き方を考える機会にもなりました。
──特に、サビの部分、「だから もう一度生まれ変わろうとも また私はここを選ぶんだろう だから あなたと また巡り逢ったら もう離さない今を選ぶんだろう」という言葉は、非常に胸に迫るものがあります。
よく考えちゃうんです、死んだ後のことを。いまがすごく大切で、楽しくて愛おしい、だからこそ生まれ変わってもまたここにいたい、人間じゃなくていいから、違う形でもいいから大切な人たちと再びめぐり合いたいって。そして、そこにいなくても、消えてしまって姿がなくなったとしても、「いた」という事実は、温度のようなものでずっと残っているものだから、残されたものたちが思い続け、忘れないでいる、それが「生かし続けられる方法」だなと思ったり。私は、……そうなんです。死んでしまった人たちが私の中ではずっと生きている。だから、その人たちが言葉を投げかけてくれるんです。「行っちゃえ!」とか「あのときああだったじゃん!」って。
──それは、例えばどういった人たちですか?
親族だったり恩師だったり。言ってしまえば自分勝手な「妄想」なんです、彼らの言葉は。でもその存在がすごく支えになっているし、それは人間にしかできない「妄想」でもあるんだなって。もちろん、大切な人がいなくなってしまうのはつらいし寂しいことではあるんですが、そのつらさや寂しさすらも、「その人と一緒にいた」という証拠。そう思えば、優しい気持ちにもなれるんです。1人じゃないなって。
Photo_Wataru Kitao Styling_Akiyoshi Morita Text_Izumi Karashima