有村架純と坂口健太郎がダブル主演を務めるNetflixシリーズ『さよならのつづき』は、吟味を重ねて選ばれた衣装も魅力のひとつ。主人公・さえ子のスタイリングを担当した杉本学子さんに、作品の解釈や衣装の表現方法について話を聞きました。
Netflixシリーズ『さよならのつづき』有村架純演じる“さえ子”が愛するファッションの秘密
スタイリスト杉本学子が語る、共感性をつくるスタイリング
さえ子の心情は装いの色味とリンクする
恋人の雄介を交通事故で亡くした主人公・さえ子(有村架純)と、雄介(生田斗真)の心臓を提供された成瀬(坂口健太郎)の、運命に翻弄される2人の切なくも美しいストーリー。登場人物の心情を表すのは台詞や演技だけではなく、ファッションも重要な要素。Netflixで11月14日より配信開始となる『さよならのつづき』は、絵画のように美しい映像をより魅力的に見せる色使いやシルエットなど、鑑賞後も頭に残るコーディネートもポイントだ。
悲しい過去を持ちながらも仕事に向き合い、前を向いて生きていくさえ子のスタイリングを担当した杉本学子さん。
──今までも『大豆田とわ子と三人の元夫』や『着飾る恋には理由があって』などさまざまなドラマ衣装を担当されてきましたが、今回の作品はどのように向き合われたのでしょうか?
『さよならのつづき』に携わったのは、プロデューサーの岡野真紀子さんから推薦いただいたことがきっかけ。「さえ子を人に愛されるキャラクターにしたいんです」と熱意をもって話していらしたのが印象的で、ぜひお力になれたらと参加を決めました。この作品は純愛を描いているけれど、2人は結ばれるには難しい立場にあるんです。だからこそさえ子の衣装では、強気だけど人に共感されるようなかわいらしさを表現したくて。彼女のパーソナリティが服装や持ち物によって出せたらいいなと思い、スタイリングを考えました。
──さえ子の人格を表すために具体的にどんなコーディネートを組んだのでしょうか?色や柄使い、シルエット、小物選びなど意識したことがあれば教えてください。
人に媚びるファッションじゃなくて自分の好きなものを選択して着ている、芯のある女性像をイメージしました。バッグや時計など、ハイブランドだけど長年愛用できるベーシックなデザインを選んでいて、基本的に同じものを身につけています。でも服までリアルに寄せてしまうとあまりにも日常的になるので、ひと匙のファンタジーを。心が躍るようないい出来事があったら明るい配色やパターンを、逆に落ち込んだり悲しんだりしているときは無地のモノトーンに。視覚的に伝えられるよう使い分けましたね。
Photo_Hikari Koki Text_Minori Okajima