軽やかなプリーツに、色彩の物語をのせて。〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉が、イラストレーターの一乗ひかると協業。「BRAND NEW DAY」と題されたシリーズが7月10日にお目見えした。描かれているのは、自由に、心地よく、そしてカラフルに一日を過ごす女性たちの姿。その背景にはどんなストーリーが込められているのか、一乗ひかるに話を聞いた。
〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉一乗ひかるが描く、色鮮やかなブランニューデイ

──早速ですが、今回のテーマ「BRAND NEW DAY(ブランニューデイ)」は、どのようにして生まれたのでしょうか。
三宅一生さんには昔から憧れていましたし、学生時代にも大きな影響を受けたプロダクトだったので、お話をいただいてとても光栄でした。同時に、田中一光さんや佐藤卓さんをはじめとする素晴らしいグラフィックデザイナーたちが関わってきたこともあって、「中途半端なものは絶対に作れない」という強いプレッシャーもありました。
〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉には、快活で日常に寄り添いながらも、非常に洗練された世界観があります。“リアリティがあるのに美しい”というブランドらしさを意識しながら、そこに自分の感覚をどう重ねていくか。着る人に寄り添う着心地や、動きに合わせてくれる柔軟さ。その魅力をどう多様なシーンに落とし込むかを考えていくなかで、「女性が過ごす一日」にある想いや動きに着目し、そこから「ブランニューデイ」というテーマにたどり着きました。
──アパレル制作のご経験はあるかと思いますが、今回のプロジェクトでは何か新しい発見はありましたか?
これまでは、基本的にプリント中心で、既存のボディに合わせて形や色を決めていくような流れが多かったんです。でも今回は、まず絵を描いて、それが衣服というプロダクトになるという過程で。そのアプローチ自体が、初めての経験でした。しかも、全身一式、さまざまなアイテムをこれだけの数で制作することもなかったので、すべてのアイテムがそろったのを目にしたときは本当に感激しました。
──プリーツの上にご自身の絵がプリントされるということに対して、どのように感じられましたか?
私の絵には網目のような細かいテクスチャーをたくさん描き込んでいるので、そこにプリーツが加わるとどうなるのか、まったく未知の感覚でした。でも、たとえ自分が想像していたものとは違う見え方になったとしても、きっと面白くなるだろうという予感があったんです。だから、不安というよりは、未知のものに向かう楽しさのほうが大きかったです。
──プリーツ状だからこそ、着る人によって見え方が変わるし、そこでまた唯一無二のアートが完成しますよね。その点がすごく面白いなと感じました。
プロフィールにも書いていますが、私のイラスト表現の根底には、「美醜の価値観にとらわれたくない」という思いがあります。常に前提として、さまざまな体系の人物を描きたいという気持ちがあって。だからこそ、身につける人によって作品が変化していくというのは、本当に素敵なことだと思いますし、それ自体がとても楽しいことだと改めて実感しました。
Photo_Hiromichi Uchida Styling_Kotomi Shibahara Text&Edit_Aiko Ishii