デンマーク発、ミニマルで洗練された北欧デザインが魅力の〈スカーゲン〉から、穏やかな海や空、きらめく太陽など、夏の自然のエッセンスを取り入れた新作モデルが登場した。心地よく晴れた空の下、新作をセルフスタイリングで着こなしてくれたのは、モデル&女優として活躍するモーガン茉愛羅さん。彼女にとっての“ヒュッゲ”なスタイルとは?
スカーゲンと私の“ヒュッゲ”な時間 × モーガン茉愛羅
北欧のライフシーンを伝える文脈で耳にするようになった“ヒュッゲ”という言葉。大切な人に想いを馳せる時間や、人との触れあいから生まれる居心地のよい空間。〈スカーゲン〉はこのデンマーク流の人生の楽しみ方“ヒュッゲ”の精神をインスピレーションにしている。
「今日の青空、綺麗ですよね。私、空を眺めるのが好きなんです。趣味のカメラも、いちばん最初に撮ったのは空の写真。大学入試の論文も『空が好きすぎる』というテーマにしたぐらい。『前世、私は天使だったと思う』って始まって(笑)」
空に向かって大きく背伸びしたその手には、デンマークの穏やかな海をイメージした“シルクメッシュ”ストラップに、シンプルなディテールデザインで仕上げた新作の〈ハルド〉。憧れの女優、ウィノナ・ライダーを少し意識して短くカットした髪型に、シルバーのシャープなテイストがよく映える。
滑らかなメッシュストラップ仕様の〈ハルド〉。モダンなフォルムにローマンインデックスで少しだけクラシカルな印象。SKW2712 ¥21,000(スカーゲン)
「いつも子供っぽく見られがちだから、20歳になって大人のクールな女性に変身したいなと思い髪を切ったんです。今日もこの時計にトレンチコートを合わせて、大好きなロンドンスタイルで着こなした、飾らない女性像をイメージしてみました。ニットのポロシャツにロールアップデニム、足元は定番のレザーブーツ。映画『恋しくて』(1987年)の主人公のようなスタイル。ぱっと見は強気なのに、実はずっと片思いの一途な女の子なんです。ボーイズライクなんだけど内に秘めた女性らしさ、そんな雰囲気にぴったりの時計だなって」
同じく〈ハルド〉より、肌なじみの良いローズカラーモデル。SKW2714 ¥25,000(スカーゲン)*〈ハルド〉は他ゴールドのSKW2713の全3色提案
「シルバーが切ない片思いなら、ローズカラーは『彼氏?3ヵ月くらいしか続いたことないの。好きだったけどね』とさらりと言ってのけそうなクールな女の子(笑)。オールブラックに手元だけ、ワンポイントの女性らしさ。ピンクの色合いが甘すぎないのもちょうどいい。時計って、つけているとシャキっと背筋が伸びますよね。話している時にちらり手元を見たりする仕草とか、知的でいいなって思うんです。携帯が時計代わりだったりするデジタル世代だから、あえて時計をする姿勢にもどこか反骨精神を感じて。時計を身につけることで、何かもっと、大切なものが見えてくる気がするんです……」
それは、プライベートで撮り続けているフィルムカメラにも共通する感覚だ。
「カッコつけた言い方になってしまうけれど、時って本当に一瞬で流れていってしまいますよね。その瞬間をすぐ目にできるデジタルで撮影するのもいいんですけど、フィルムカメラで撮って、現像して、数日後に思い出になって蘇ってくる。そこには大切なシーンが、より鮮明に刻まれているように思うんです」
彼女がファインダー越しに見ているのは、人生で一番美しい瞬間の積み重ねだ。誰かを思って、その人の輝きを切り取る“ヒュッゲ”な時間。
「男女とかの区別もなく、私はとにかく人が大好き。大切な誰かと一緒の時間、それは一瞬、一瞬で過ぎていくものだから、今この瞬間、この人といられる幸せが大事だなって日々感じるんです。だから、その時間を絶対に忘れたくない。私の“誰にも見せられないノート”(笑)に写真を焼いて貼りつけたりして、その時の言葉や感じたことを書き記したプライベートZINEを作ってます。部屋の壁も一面、友人たちの写真だらけで思い出アルバムみたい。撮ることがどんどん楽しくなってきから、ここ1、2年は集中して本格的に勉強してみるつもりです。夏ぐらいには写真展をやりたいな」
愛用のカメラ、キャノンA-1(写真上)で茉愛羅さんが撮影した作品。1枚目はロンドンに住む家族を10年ぶりに訪ねたとき、初めて会った従兄弟の双子くんたち。2枚目は韓国旅行で出会った水浴びをしていた女の子。「お誕生日なのか家族みんなで幸せそうでした」(茉愛羅さん)
「演技の勉強もがんばりたいし、今はもうやりたいことがいっぱい(笑)。でも、それぞれどこかで繋がっていてちゃんと意味をなしているなって実感します。周りにも私を支えてくれる友人や家族、大切な人がいっぱいいて……。私もいつの日か祖母のように、無償の愛を誰かに注げる女性になりたいです。いっぱいもらった愛情を、私も誰かに与えることで伝えたい。祖母とは今も月一回、デートしてるんです。目標は『ハワイの綺麗な夕日をもう一度見てみたい』という夢を叶えてあげること。でもね、大事なのは場所じゃないというのもわかっています。近場でもいいから出かけて、今を一緒に、特別な時間を過ごすことの方が、きっとずっと大切なんだなって感じています」
もうひとつ、夏の新作より〈アニータ〉のコレクション。デンマーク語で“優美さ”を意味する言葉で、表情のあるマザーオブパールのダイヤルが女性らしいデザイン。左の茉愛羅さん着用から、スモーキーブルーのSKW2703、メッシュブレスのSKW2701、ヌードカラーのSKW2704すべて¥20,000(以上スカーゲン)
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モーガン茉愛羅
モデル/女優。イギリス人の父と日本人の母を持つ。生まれも育ちも東京の、本人いわく「祖母の代から続く生粋の江戸っ子(笑)」。モデルとしてファッション誌などで活躍するほか、CM・テレビにも登場。昨年は野田秀樹作・演出の『足跡姫』で舞台に初挑戦した。
Photo: Kaori Nishida Text: Aiko Ishii