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はじめまして、ザ・クラシックス~「乗馬」はコミュニケーションの基本!?

はじめまして、ザ・クラシックス~「乗馬」はコミュニケーションの基本!?

そろそろ知っておきたい古典の世界。ミチルさんと一緒に探求しよう。


尽くし、尽くされて。馬は永遠のバディ

ネットで「乗馬」を検索すると、経営者にこと向いている!なんて、ビジネス系の記事がまあまあ出てきて驚く。どうやら、物言わぬ馬の気持ちを慮り面倒を見ることで、コミュニケーションの基本を学べるらしい。身体だけじゃなく心も鍛えられるって、マインドフルネス効果もあるヨガに近いのかな?でも向き合うのは自分じゃなくて馬だとね??興味をそそられて、試しに乗馬クラブに行ってみることに。

都内近郊にはいくつもの乗馬クラブがあり、それぞれ初心者向けの体験コースが用意されている。対面すると、馬はほんとうに大きい。肌はつやつやしていて、触るとしっとりして、ほんのり温かい。指南を受けていざ乗馬。足で馬のおなかをポカンと叩くと進み、手綱を引くと止まる。きちんと歩いてくれたら、ありがとうの気持ちを込めて首筋をグーでなでる。速足という小走りをやってみたら、ガクンガクンとお尻が浮いてバランスを取るのに精いっぱい。この先が長いのだろうな……と通目になりつつ、体験は終了。

ほんの少しの時間で感じたのは、馬と人でバディを組む心地よさ。可愛いだけのペットでもなく、車のような道具でもない。持ちつ持たれつの対等の感覚が新鮮だった。馬は人が歩けないところも進めるし、速い。人間ができないことをやってくれる。だから、馬に乗る以外の時間は人が馬に尽くす番。餌をあげたり、ブラッシングしたり、馬舎の掃除をしたり、せっせとお世話をする。レッスン1回に乗る時間は45分と意外に短いけれど、多くの人は半日〜丸1日、馬と一緒に過ごすんだそう。近くを散歩したりもして、ただ草を食む姿を見るだけでも癒されるんだとか。

現在いる馬は、ほとんどが家畜化されたものだ。とくにサラブレッドは牛や羊などに比べると胃腸も弱く、超繊細。人間なしでは生きられない弱い一面をもっている。つまり、馬と人の関係は、シンプルで深いギブ&テイクの形を結んでいる。できることできないことをお互い認め合うなんて素敵じゃない?大人の関係というか、理想のパートナーというか。

なんてったって、馬と人間の歴史はあまりにも古い。それは、新石器時代にまでさかのぼる。洞窟壁画にも登場し、エジプト文明の絵にも多くの馬が描かれている。騎馬民族は一日の大半を馬の上で過ごし、移動しながら生きてきた。古代から中世、そして近代まで、馬は戦争を支える大事な道具でもあったし、長い間、濃厚には欠かせない存在だった。まさに人馬一体の歴史だ。馬に優しい馬具づくりが評判となったエルメス草創期の逸話は、人が馬を思いやる気持ちの大切さを物語っている。

趣味で乗馬を楽しむのは圧倒的に女性が多い。馬と気持ちを通い合わせ、技を高めていく経験から、はまる人も結構いるらしく、その延長で競技を目指す人も少なくない。オリンピックの競技にもなっている馬術は、馬も人も性別も年齢の区別なく(!)参加できるし、きょう持年齢のピークも他のスポーツに比べると幅広い。さすがに今からオリンピックは無理だけど、じゅうぶん高みを目指せる可能性が残されているなんてすごい。ここにも、対等の風が吹いているんだなと感心する。気になるお金の方は……?通常、クラブに所属して通いながら楽しむ程度であれば、意外にもテニスやゴルフ、ヨガなんかとさほど変わらない。旅先でなら、森の中や海辺を歩く外乗もおすすめだ。

馬はやさしい動物。その馬とバディを組めば、むしろ普段の生活でも人にやさしくなれるような気がする。悩みの尽きない現代人にこそ、乗馬は必要なのかもしれない。

Illustration: Yuka Okuyama Text: Satoko Shibahara Cooporation:  Hachioji Riding Club

GINZA2018年12月号掲載

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