16 Feb 2023
家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.74 Nakedリリース

クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。28歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回はvol.73 2023年!
vol.74 Nakedリリース
2月15日にリリースしたアルバム『Naked』は、結果的に約4年ぶりのオリジナルアルバムになった。4年…という年月は決して短いものではない。特に音楽の聴かれ方がCDからサブスク中心に移り変わった今。タイムラグなく想いが伝わる嬉しさと消費速度が年々早まっていることへの不安を耳にしたりもする。サブスクがネイティブ世代の人たちは、自分の好きなアーティストが毎月のように配信シングルをリリースする、というタイム感がスタンダードに近いのかもしれない。そもそもアルバムという形よりも、収録曲を半分にしたEPを2枚リリースする方がリスナーの人にとっては親切なのかも。そんなテーマで、スタッフと時に気軽に、時に真剣に、何度も話した。
アルバムの曲を単曲で買えて、聴ける日が来るなんてきっと誰も想像していなかった。時代を好きに遡り、好きな時に、好きなアーティストの曲を一定額払えば聴き放題なんてシステムが生まれることも。そう遠くはない未来。もしかしたら「アルバム」という物自体が一般的ではなくなるのかも、と思った。私にいつか娘や息子がいたりしたら、「ママの時はアルバムっていう、いっぱい曲を収録した物があったの?」なんて尋ねられたり、するのかな、なんて。「当たり前」がどんどん変わっていくこと。それが確かに「生きること」なのかもしれない。分かっては、いる。
デビュー日である2月15日にアルバム『Naked』をリリースして。私が死ぬ前に絶対聴きたいと思う1枚になった。ただでさえ4年ぶりのアルバムリリースで感慨深さが止まらないのに、そこに「アルバム」という形態でリリースしたことへの感慨もプラスされるとは。過去の私が知ったら驚くだろう。だけど、音楽を届ける方法や形態がどんなに変わっても、想いを音楽にして、あなたの心目掛けて届ける、ということだけは絶対に誰にも時代にも変えようがないはずで、不変で。届けたい。その想いがあれば音楽は続く、と思った。
家入 レオ Leo Ieiri
1994年生まれ、福岡県出身。17歳のメジャーデビュー以降、ドラマ主題歌やCMソングなどを多数担当。
2022年2月にはデビュー10周年を記念して「10th Anniversary Live at 東京ガーデンシアター」を開催。
2023年2月15日にはニューアルバム『Naked』をリリース。収録されている「嘘つき」はWOWOWオリジナルアニメ「火狩りの王」のオープニングテーマ。
2022年2月にはデビュー10周年を記念して「10th Anniversary Live at 東京ガーデンシアター」を開催。
2023年2月15日にはニューアルバム『Naked』をリリース。収録されている「嘘つき」はWOWOWオリジナルアニメ「火狩りの王」のオープニングテーマ。
ginzamagでのインタビュー:
Photo:Leo Ieiri