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心理学者に聞く、よい謝罪・悪い謝罪【人間関係のマナー】

心理学者に聞く、よい謝罪・悪い謝罪【人間関係のマナー】

友達にパートナー、両親、同僚。大人の人間関係は少々フクザツだけど日々ストレスなく気持ちよく付き合っていくために大切なマナー。いま必要なヒントをさまざまな分野の専門家たちに教わってきました。


お話を聞いた人
川合伸幸さん(心理学者)

丁寧に謝る

形式的ではなく
誠意を伝えるために重要なこととは?

他人との衝突は避けて通れない。謝らなければならない場面で、気持ちが伝わる「よい謝罪」とはどのようなものなのか。科学の視点から効果的な方法を研究する川合伸幸先生に聞いた。

「傷つけた人に対して謝罪することもコミュニケーションのひとつですが、意を尽くして謝るのはなかなか難しいものです。それは、人間の特性に原因があることが、スタンフォード大学のシューマンの研究でわかっています。人は『自らをよくみせようとする生き物』であるので、他人を不快にさせてしまった行為と、〝よい人である〟自分のあり方が一致しなくなるんです。

この齟齬を解消するために、『こんなことする気持ちはなかった』(正当化)、『自分がしたのではない』(弁解)、『冗談のつもりだった』(事態の矮小化)などと、言い訳めいた謝罪をしてしまうのです。自分をよく見せたいという本能により、さらには相手のせいにする(逆ギレ)ことも。これでは反発を招いてしまいます。

一方、よい謝罪をするためには、後悔していること(自責の念)、責任を感じている旨(責任の自覚)を伝え、補償をすることが条件。といってもお金を支払うのではありません。たとえば、会議の時間に遅れてしまったのなら『要点をまとめて話して、予定時刻にちゃんと終わらせます』というように、具体的な解決策を提示するのです。

他にも、そのような行為をするに至ってしまった理由の説明、今後適切に振る舞うことの約束(改善の誓い)、相手を傷つけた事実の認識(被害者への労り)、自分の行為が不適切であったことの自覚、許しを請う(容赦の懇願)、この5つが付加的な要素として重要になります。つまり、上記の適切な謝罪の要素を多く含んでこそ、『包括的かつ意を尽くしたよい謝罪』と言えるのです。

自分が加害者であるという状況を認識し、相手が何にわだかまりを感じているのかを、丁寧に探ることを心がける。そうすると腹を立てた人の怒りを鎮め、許されやすくなり、以前より良好な関係を築くことも可能です。謝罪を急ぐあまり、焦って雑にならないように気をつけましょう」

よい謝罪の3カ条

1.自責の念の表出

2.責任の自覚

3.補償の申し出(具体的な策の提案)

 

悪い謝罪の4つの要素

・失態を正当化する

・弁解する

・事態の矮小化をはかる

・逆ギレ

Q. どうして素直に謝れない?

A. 謝罪を苦手と感じている人の多くは、じつは自尊心が低いことが研究でわかっています。謝る行為によって自分という存在が目減りしてしまうと感じているようです。自信がないので、『受け入れてもらえないかも(なら、してもしょうがない)』と考えてしまうのではないでしょうか。対策としては『謝ってもすべてを否定されるわけではない。私にはいいところもたくさんあるんだ』と意識すると、自然と謝れるようになるはずです。

心理学者に聞く、よい謝罪、悪い謝罪【人間関係のマナー】

川合伸幸 かわい・のぶゆき

心理学者。名古屋大学大学院情報学研究科教授。ヒトや動物の心の動きを生物学的な手法を用いて調査している。著書に『科学の知恵 怒りを鎮める うまく謝る』(講談社現代新書)など。

Illustration: Hiroko Shono Text: Marie Takada

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GINZA2022年8月号掲載

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