04 Jan 2019
中谷芙二子さんは世界に対し尊敬と優しさを持って、形にしていく…あなたにとって“レディ”とは?vol.2

上品、チャーミング、ヘルシー。レディであるための条件は一言で表せるものではないし、きっと正解もない。 GINZAの身近な女性たちの綴る言葉を見てみると、その輪郭が少しずつ、でも確かに、見えてくる。
エレナ・トゥタッチコワ(アーティスト)にとってのレディ
中谷芙二子
アーティスト
アーティスト
「霧の彫刻で世界的に有名なアーティスト中谷芙二子さんは、『風景は静止した、変わらないものに見えがちなのだが、実際は物語に溢れている』とあるインタビューに話したことがある。私に見える中谷さんは、まさにそういった風景のよう。常に変わり続ける世界の中、あるいは見慣れた世界の中から、物語を無限に生み出せるアーティスト、人間、女性。
人間や自然が培ってきた時間や歴史に常に意識を向け、時代を超える知性や感性を育てていく力を持つこと。目の前にある風景をもっと広い、深い眼差しで見抜く想像力を持ち、物語を見出し、つなげていく。そして、自分の持つ力をとてもエレガントに、つまり、世界に対して尊敬と優しさとユーモアを持って、形にしていくこと。中谷芙二子さんのような、そんな女性こそ、レディではないかと思う」
なかや・ふじこ=1933年生まれ。70年の万博で[霧の彫刻]を発表。以降、世界各地で霧を使った作品を制作、〝霧のアーティスト〟と呼ばれる。本誌 P. 186「今月のキュリオシティ」で展示情報を紹介。
文= エレナ・トゥタッチコワ=モスクワ出身、2012年より日本に渡る。土地や個人の物語を採集し、写真、映像、音、文章で表現する。本誌では連載「器と花」の撮影を担当。18年には知床で個展を開催した。
Artwork: Yosuke Kobashi
GINZA2019年1月号掲載