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映画監督・安藤桃子さんが語る「ヒーロー全盛期の終焉」|時代に愛されるこれからのヒーロー像とは? vol.8

映画監督・安藤桃子さんが語る「ヒーロー全盛期の終焉」|時代に愛されるこれからのヒーロー像とは? vol.8

気候変動、ジェンダー、BLM、コロナ禍とさまざまな問題に直面している今、ヒーローや人気者のあり方も変わってきているようだ。映画監督・安藤桃子さんに、これからの時代に求められる人物像を分析してもらった。


ヒーロー全盛期の終焉
自分自身の内面に目覚めていく

2020年はコロナで自粛を余儀なくされ、生活が大きく変わりました。これまでは飲み会や出張と、私たちは外へ外へと向かっていましたが、家で内省する時間が増えました。以前は社会的にも家にいるより、外へ出ることに価値の比重が置かれていた気がします。今、世界人類共通のマインドチェンジのきっかけをもって、自分の内側に漕ぎ出す時が来たのかな、と思います。

一番大切なのは何だろうと考えると、すべての人に共通する命と心だと思います。いろんな問題の解決に向けて、たった1人のリーダーが活躍する時代は終わりを迎え、個々が本来持って生まれた感性に立ち返り、生まれたばかりの時のようにもう一度目覚めていく時代なんじゃないかと。だからヒーローの時代ではなくなると思うんです。

じゃあ、これからの私にとってのヒーローって誰だろうとあらためて考えてみたら、子どもの頃に観た映画『リトル・ブッダ』で釈迦を演じるキアヌ・リーブスが浮かびました。すごいイケメンのブッダで憧れました(笑)。すべての人の中に本来、慈悲や調和の心があって、問題の解決策もすでに全員の中にある。いわゆるスーパーヒーローではないけれど、一人ひとりが内なるヒーローに目覚める時代なのかもしれません。ブッダが、草木花、すべての命とひとつになるシーンの優しさが私たち本来の姿だと思うんです。

今までは大きな家や贅沢な食事、プライベートジェットなど、「モノ」が生きることの目標で、成功の証だったけど、それが反転して、映画的な時代になると思います。まず、伝えたいことや表現したい想いが先にあって、それを形にしてお客さんに見てもらうのが映画です。「モノ」より「想い」が先にくる。想いをビジョンに起こして具現化する映画のように、これからは生きることのすべてが、映画制作的な回路で進むのではないでしょうか。それはきっと優しさに満ちあふれた世界の始まりになると思います。

そうだ、『長くつ下のピッピ』のピッピも私の、そして、今は娘にとってのヒーローです。固定観念をふりはらい、大人になるにつれていつの間にかすり込まれてしまった常識から自由にさせてくれる、変化と進化を恐れない英雄です。

安藤桃子 あんどう・ももこ

映画監督。1982年生まれ。映画『カケラ』で監督・脚本デビュー。2014年自作の小説『0.5ミリ』を映画化、国内外で受賞。ミニシアター 「キネマ M」代表。現在は高知県在住。FM高知で毎週月曜『ひらけチャクラ!』放送中。

Text&Edit: Mari Matsubara

GINZA2021年3月号掲載

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