人生はいつだって夢芝居。演じるほどに華やぐの。いい?女は女優よ。目を腫らすまで泣いてブサイクになっても、演じている限りはスポットライトの当たる女優なの。そして、監督で脚本家で照明係で音響係なのよ。何ひとつ、わかっちゃいないアンタたちのために銀座アガリのわたくしが、女の生き方をとことん、教えてあげるわよ。
その10
「第一印象で心をつかむ、女優になる 〜職場編〜」
●主演女優から声をかけなくて、どうするの?
いい? アンタたちったら、まったくわかってない!人見知りだから、初めて会うひとには自分から声なんてかけられない、ですって? 逆、逆、逆! むしろ、初めて会うひとにこそ、自分から声をかけていかなきゃ。てか、女優でしょ? 観客から声かけられるの、待っててどうするの? そこは主演女優である自分から行かなきゃ。
そもそも、初対面のひとにどう声をかけていいかわからないのは新入社員などの新顔だけじゃなくて、古株の大先輩も同じ。みんな同様にまごまごしてるなかで、最初に声をかける勇者は確実に感謝されるから。誰もが「どうやって声かけよう」とタイミングを見計らってる。張り詰めた空気を打ち破る「はじめまして!」の声の尊さ。そう、場を和ませる力って、すごく尊くて、それをつくれる女優はどこでも重宝されるのよね。それは力だから。「彼女がいれば、場が和む」。そんな理由で新しいプロジェクトに抜擢されたり、飲み会や食事会に誘われることって、案外多いんじゃないかな。だから、新しい場所で新しいひとに会うときは、先陣切って自分から声をかけるのがいい。たったそれだけで人生、最低2割は得するから。新入社員だろうがバイトだろうが、自分が主役の物語がここから始まる! と心得て‘座長’として空気をつくって。
●オーディエンスが求めるルックスを提供するのも女優の務め。
もちろん、見た目も大事よ。清潔感を醸すために髪や爪はきっちり整えるというのは最低限のこと。あとはTPOかな。皇族の方々が地方などの公務へ行かれるくらいの格好、身近なところではお受験ママみたいなスタイルをしていれば、ほぼ、どこでもマナー的にOKだとは思うけど、それがウケるかどうかはやっぱり場面で異なるから。
以前、銀座のクラブで同僚だった友だちが、五反田の熟女キャバクラに転職したんだけど、ヘアメイクに服装、言葉遣いに至るまで、銀座スタイルがまったく通用しないって。銀座でよしとされているのは上品で丁寧で大人の女性。ところが、それだと五反田の熟キャバでは浮きまくるって。お客さまから「お前、なんか気取ってない?」って言われちゃうって。じゃ、どういうのがいいのかといえば、アラフォーだろうとなんだろうとギャルメイクとギャル服にギャル風言葉遣いがお客さまから好まれると。「マジ、ウケるんだけど」的な受け答えが、ちょうどいいとか。彼女は研究に研究を重ねて、わたくしが並んで歩くと恥ずかしいくらいのアラフォーギャル化した結果、お店では大変な人気者となり、お金が儲かってしょうがないとか。
なのでね、印象を変えると金運も上がって、経済効果も生まれるわけだから、心してオーディエンス(観客)の好みを見極め、お好み通りのルックスとしゃべりを提供できるといいんじゃないかな。