人生はいつだって夢芝居。演じるほどに華やぐの。いい?女は女優よ。目を腫らすまで泣いてブサイクになっても、演じている限りはスポットライトの当たる女優なの。そして、監督で脚本家で照明係で音響係なのよ。何ひとつ、わかっちゃいないアンタたちのために銀座アガリのわたくしが、女の生き方をとことん、教えてあげるわよ。
その2
「銀ブラ途中のカフェで、女優になる」
●銀ブラのメッカ、銀座通りはメインストリートではない!?
いい?アンタたちったら、まったくわかってない!銀座のメインストリートといえば、中央通りとも銀座通りとも呼ばれる、三越と和光のある通りのことだと思ってるでしょ。でもね、それは昼間の話。それもカタギにとっての話なの。いい?ホステスだったわたくしにとって、まだ日が暮れてない時間帯にあの通りを歩くことって、ほとんど肝試しだったなんて、カタギのアンタたちにはわからないでしょ? 昭和の時代はね、銀座っつったら‘よそゆき’の服で出かける雲の上にあるような高級な街だったのよ。きっと、その頃ならハイブランドのワンピースや着物で、あの大通りを歩いても違和感はなかったはずよ。でもね、時代がどんどんカジュアルになっちゃって、10cmヒールで着飾って、美容院で頭をセットして銀座を歩く女なんて、今の時代、99%ホステスじゃない? わたくしはねぇ、銀座の1丁目から2丁目にかけて歩いているときに、同世代のそこそこイケメンがわたくしのことを「あのコ、めっちゃかわいい!」って言ってくれてるのに、そのツレが「ばか、あれホステスだぞ」とたしなめちゃって、「あ、ホントだ」ってそこそこイケメンが、わたくしを「問題外」にして以来、ホステスに見える格好であのへんを歩くのがトラウマになってるんだから! 確かに、お金をがっぽり儲けようという女狐として生きていましたけど、あなたさまから1円だって、引っ張ってませんよね? そう声を出して申し上げたいです。
●昼と夜で変わる、銀座という舞台。
全然、わかってないアンタたちに教えてあげるけど、日が暮れたら銀座のメインストリートは1~4丁目から5~8丁目に、銀座通り(中央通り)から並木通りにガラリと変わるんだから。そこを押さえておかないと、ちゃんとした銀ブラはできないから。いい?昼のメインストリート、1~4丁目でなおかつ銀座通りを中心とする界隈にあるカフェっていうのは、デパートやブティックでお買い物した後にひと息つく場所なの。アップルストアで携帯買い換えた後にお茶飲むところなのよ。でもね、5~6丁目で並木通りを中心とするエリアにあるカフェや喫茶店っていうのはね、黒服がスカウトした女の子を入店させるために口説いたり、ホステスが今後の営業についてママと相談したり、もしくはお客さまと同伴の待ち合わせをするための場所だから。という舞台設定をちゃんと頭に入れて、銀ブラしなきゃ。全然、いい女優になれないから。