彼とスタイルを合わせることも、
オシャレのうち。TPOのうち、である。
例えば会社帰りに、ボーイフレンドと会う日。服選びは、どうしているだろうか? 特に、ビジネススーツの彼と会う日、あなたは何を着ていくのだろう?
以前から気になっていたのは、そこなのだ。平日の夜、いかにもタイプの違う男女が連れ立って歩いているのを、よく見かける。昼間ならば仕事仲間なのだろうと流してしまえるけれど、ファッションが全くチグハグな男と女が、夜の街を手をつないで歩いていたり、それなりの店で食事をしていたりすると、全く以ておせっかいだけれども、あなたがた、とっても損してますよと言ってあげたくなってくる。オシャレな2人ならば尚更。お互いの魅力を相殺しあってしまっていることが残念でならないのだ。絵として 決して美しくないし。
ビジネススーツに、リゾートみたいな自由過ぎる女のファッションは、当然のことながら美しくない。ゴシック系やアバンギャルド系のファッションもやっぱりダメである。
ともかく恋人ならば、彼がビジネススーツで現れることなど充分にわかっているのに、どう考えてもビジネススーツにエスコートされるファッションではないものを、平気で選んでいる人が少なくないのは、残念な話。本来はそういうことも含めて、オシャレだからである。ついでに言うならば、女同士でも全くスタイルの違う2人が連れ立っていると、あーもったいないなと思う。一人一人で見るといかにオシャレでかっこよくても、
一緒に歩くと相殺し合う。野暮ったく見える。見た目にもまるで価値観が違う女同士が歩いているのは、関係ないけれど妙に違和感があることなのだ。
女はどうしても、ファッションにおいて傲慢になりがち。何を着たって自由でしょ?私が相手に合わせることなんかないでしょ?実際そうなのだけれど、そこをなんとか一つの良識として、相手のスタイルをほんの少しだけでも考慮してあげられるのが、大人のセンス。確かにカップルのオシャレにおいては、女の方が主導権を握るのはとても自然なこと。であるならば余計に、女性の方から男性のビジネススーツにイメージ合わせてあげるべきではないのか。まさしくそれもひっくるめてオシャレだからだ。
ペアルックは別に見たくないけれど、男と女の洗練のレベルやスタイルのトーンが合っている時、二人がよりオシャレに見えるのはもちろん、街の風景の中に美しく収まってくる。美しい街は、街ゆくカップルが作るものと言ってもいいほど、カップルの洗練は重要な風景の一部であること、ぜひ知ってほしいのである。ほんのひとかけらでも、それを頭の片隅に置いて服選びをすれば、オシャレな人なら無意識のうちに彼のスーツに歩み寄っているはず。幸い今シーズンは、久しぶりにコンサバなトレンドが返ってくる。まっとうなコンサバが嫌ならば、50年代60年代の女優を気取ってみてはどうだろう。男のスーツは、当時とあまり変わっていない。そして女が女として最も美しかったその時代の女のファッションこそ、男のスーツに美しくエスコートされる最高のスタイルと言ってよく、良い機会だからこそ、そこに挑んでみてはどうだろう。
ともかく、チグハグなファッションで歩いていると、一人一人もバランスが悪く見えてしまうこと、そしてあまり幸せな2人に見えないことだけ警告しておきたい。それは残念ながら私たち女の責任。