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たくさんの出会いと憩いのチャンスに満ちた、創業90年の銭湯「黄金湯」:東京ケンチク物語 vol.37

たくさんの出会いと憩いのチャンスに満ちた、創業90年の銭湯「黄金湯」:東京ケンチク物語 vol.37

家にお風呂があったって、楽しい銭湯なら絶対に行きたくなる!リノベーションによって、町の居心地のよい拠点として生まれ変わった、創業90年の銭湯を訪ねました。


黄金湯
KOGANEYU

洗面器に石けんとタオルだけを入れてトコトコ歩いて通うとか、壁の向こうの家族に「そろそろ出るよ〜!」と声をかけるとか。ノスタルジックな銭湯のエピソードは、今やすっかり昭和歌謡や落語の中の世界。それぞれの家庭にお風呂があるのが当たり前になって以降、銭湯は激減し続けている。1965年の都内の銭湯の数は2600軒以上。これが2021年末には481軒だというから、業界の苦戦ぶりがうかがえる。

ところが、そんな苦悩はどこへやら?というほどの賑わいを見せる銭湯がある。錦糸町駅から歩いてすぐの「黄金湯」だ。辺りの景色に溶け込むタイル貼りのマンションの1階。1932年に創業したこちらが、この建物内に移転したのは85年のこと。それが老朽化を機に大幅な改装を行って、一昨年再オープンした。

内装設計を手がけたのは長坂常。「ブルーボトルコーヒー 中目黒カフェ」や「イソップ 青山店」をはじめ、多くのリノベが知られる建築家の力量は「黄金湯」でも大いに発揮されている。内装では、男女のエリアを分ける、2.25mという絶妙な壁の高さを手がかりに、それより下部は明るいベージュトーンで、上部は打ち放しコンクリートで統一。風呂場の上部コンクリート壁には、漫画家ほしよりこが銭湯絵を描いた。男女で続き物のストーリー仕立てになっているというこの銭湯絵、「女湯/男湯はこうだったよ」という会話のきっかけになりそうで楽しい。この「黄金湯」のさらに愉快な部分は、エントランスまわりだ。昔ながらの銭湯ならば、男女別の入り口の真ん中に素っ気ない番台があって、その周囲に自動販売機やマッサージ機、靴箱があって……といった様子が普通だが、こちらの“番台”はDJブースやビアサーバーも設置された「ロ」の字型のカウンター。お風呂上がりに牛乳やクラフトビールが楽しめる、さながら「番台バー」だ。さらにこの番台バーは、ガラスの引き戸越しに町に大きく開かれていて、通りを行く人からも、めいめいにリラックスした時間を過ごす人たちの姿が目に入る。レコードから流れる音楽を聞いたり、一杯だけ飲んだり、隣り合った誰かとちょっと話したり……。ひとっ風呂浴びるだけじゃない、たくさんの出会いと憩いのチャンスに満ちた場だ。

黄金湯

住所: 東京都墨田区太平4-14-6 金澤マンション1F
営業時間: 6:00〜9:00・11:00〜24:30(土6:00〜9:00・15:00〜24:30)
定休日:第2・4月

入浴料大人 ¥500。JR錦糸町駅(北口)より徒歩6分。

クリエイティブディレクションは「HIROCOLEDGE」の高橋理子。入り口にかかる大のれんは、アーティストの田中偉一郎が手がけた。通常の浴室各種のほか、水風呂や外気浴をスムーズに楽しむことができる設計のオートロウリュサウナ(男湯)、国産ヒノキのセルフロウリュサウナ(女湯)も完備。水曜日は男女湯を入れ替えて営業している。2Fにはイベントを行うラウンジやドミトリータイプの宿泊スペースもあり。銭湯好きから絶大な支持を集める押上の「大黒湯」は姉妹店。公式サイト

Illustration: Hattaro Shinano Text: Sawako Akune Edit: Kazumi Yamamoto

GINZA2022年7月号掲載

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