14 Jan 2019
恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.13 好きの度合いはいろいろある

恋愛をしなれていない頃と、いろいろ経験を積んだ後で、何がちがうって、「好きの度合いにもいろいろある」ってことを知ったことでしょうか。
これを知ってるのと知ってないのでは、実は雲泥の差。なんですよねー。
どういうことかというと。
人間て、相手に対して、「もうすっごく好き、何をされても好き!嫌なところも全部好き!」っていう、200%好きな状態から、「ほかの人と比べれば、やっぱりこの人っていうくらいは、好き」な90%くらいの好きとか、「冷静に考えれば、好きかも?」な50%くらいの好きとか、「もしかしてこれから好きになるかもな・・」な、発展途上の30%くらいの好きまで、いろいろな度合い、風合いで、好きになってるのが普通。
しかも、その好き具合は、株価のように、いろいろな要因で刻々と変化する。
決して、少女漫画みたいに、「初めて会った時からズキューン!と好き!何があっても揺るがないくらい、好き!」みたいな、金太郎飴のようにいつ切っても同じに好きなわけはなくて。
最初は、すっごく好きだった人でも、何かあった途端に、サーっと冷めて、「別にどうでもいいかも」ってなったり、逆に、「まあまあいい子だな」と思っていたのが、ある日突然すごい魅力的に思えてきて、「もう誰にも渡したくない!」っていうくらい好きになることもある。
様々に変化して、上がったり下がったりするのが、みんなが「好き」と呼んでいる感情の正体。
なのに、恋愛初心者だと、この気持ちの変化がいまいち頭にないことが多い。
最初に、「好き!」って思ったら、ずーっと100%の好きでいる、と思い込んでいるし、逆に、最初に「好きじゃない」って思っているなら、そのまま変わらないって思ってる。だから、無駄に、恋愛の出だしで、相手に「好きなの?嫌いなの?」って詰め寄っちゃうし、一度好きだと言われると、そのまま相手が自分をずーっと好きだと思って甘えてしまう。そんなことは、人間だもの、決してないのにね!
そもそも、恋愛の初期段階って、まだ相手のことを完全に理解できてないし、ただの一方的な思い込みだけで相手を見ていることが多いです。
その初期状態では、そこまで相手に好きだと思えなくても仕方ないし、逆に、知りもしない相手をカーッと好きになって、のぼせてしまうことのほうが危険です(知りもしない相手に勝手にのぼせるのも、恋愛経験が少ない人ならではなんだけど)。
恋の始まりは、お互いに、「あれ?もしかして、この子のこと好きかも?」「ん?彼って意外と一緒にいると楽しいかも?」くらいの気づきがちょうどいい。それから二人が同じくらいのテンポで近づいて行って、近づいたり離れたりしながらお互いを知り合っていくうちに、どんどん、「この人しかいないんじゃないか」って思うようになって、それからようやく付き合う、くらいがいい。
出だしでどちらかがワーッと盛り上がって、「ねえ、私のこと本気なの?好きなの?どうなの?ハッキリ答えてよ!」「もし本気じゃないなら、あなたとはもうこの先はないからね!」みたいに詰問するようだと、相手はそこまで一気に盛り上がっているとは限らないので、とっさに、「いや、・・・そこまで本気ではない!」って答えてしまうことだってある。
せっかく憎からず思ってくれていて、ゆっくり気持ちが盛り上がっていくところだったのかもしれないのに。
出だしで白黒つけろと迫ってしまうと、大事な恋の芽も摘んでしまうことがあるんです。
恋を何度か経験していると、恋と言う感情がゆっくり育っていくこともあって、その過程を見守ることで、より深い関係が築けることがあるって知るようになります。
ワーッと盛り上がる盲目的な恋だけではなく、徐々に温めていき、やがてある日大きな花を咲かせる恋もあるって知ることができる。
人の気持ちは、いくら白黒迫っても答えが出るものではなくて、ある日突然、自分自身が意外に思うような感情に出くわすことだってあるんだってこと。
恋は、相手が違えば、相手の数だけ様々です。一つの物差しだけで測れるものではない。
いつもは追いかける恋ばかりしている人でも、ある日突然、そばにいる優しい人に気づいて、それが本当の恋だと気づくかもしれない。
逆に、追われて請われる恋しかしてこなかった人が、初めて自分から好きになった人と、幸せに結ばれることだってある。
自分で、「恋とはこういうもの」と決めてしまわなければ、この世にはたくさんの形の恋がある。
最初は些細な20%の「好き」だったとしても。
そこから、時間をかけて、かけがえのない200%の「好き」に育つことだってある。
だから、恋の出だしでは、あまり一喜一憂しないで、状況を見守ることも大切です。
相手のいまの自分への気持ちがどれくらいかを、冷静に客観的に測るのです。
出会った当初は、相手がそれほど盛り上がらず、付き合うにいたらなかったとしても、もしかしたら数年後に、何かの拍子に出会い直して、二人は恋に落ちるかもしれない。
今は結婚している二人のなれそめを聞くと、「昔出会ったときはお互いに何とも思っていなかったんですが、数年後偶然再会した時に・・」というパターンが案外多いのです。
これだって、好きの形が、「ただの知り合いとしての好ましい」気持ちから、「一生一緒にいたい」の気持ちへ、時間とともに変化したってことです。
たった今の相手の感情だけで白黒つけずに、あえてグレーにして様子を見る。
相手のいまの「好き」の度合いに合わせて、それをどうやって上げていくか、それともあまり揺らさずそっとしておいて、未来に可能性を残すのか。その辺を、落ち着いて見極められるのが大人の女。
パッと見て恋に落ちて、カーッと盛り上がる恋だけが恋、だなんて思わないでくださいね。
この世には、たくさんの恋の不思議があふれているんですから。
自分だけの恋の形、恋の相手を、時間をかけて見つけてみてください。
恋愛部長 れんあいぶちょう
20代に恋愛で失敗を繰り返したことから、様々な独自の恋愛理論を編み出し、2008年から恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。過去の失敗談を披露したり、多くの人の恋愛相談に乗ったりしている。私生活では、38歳で留学を機に当時結婚を考えていた彼氏と別れ、40歳で知り合った現在の夫と結婚、出産。現在は、広告代理店で働くかたわら、1男1女を子育て中。著書に、『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。
HP: http://renaibucho.com
NOTE(恋愛相談): https://note.mu/renaibucho
カシワイ
装画や挿絵などのイラストレーションや漫画を描く。リイド社より単行本『107号室通信』を刊行。
HP: sankakukeixyz.wixsite.com/kfkx
instagram: @kfkx_
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Text: Renaibucho Cover Illustration: KASHIWAI