10 May 2019
恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.18 いい歳して、ふわっとした恋愛してる場合じゃない

好きになった人の本当の気持ちが見えない!
何度も会って、すごく相手の好意は感じるし、こっちも当然付き合ってもいいと言うくらいは好き!でも向こうからのアクションがない。実際どう思ってるの?ああああ、どうしていいか、わからない〜!というあなた。ところで、今、いくつですか?
恋する気持ちに年齢は関係ない。関係ない、が、恋する相手とのコミュニケーションの熟成度には、年齢は大いに関係ある。
たとえば、10代のことを思い出してください。恋愛って言うか人間同士のコミュニケーション、超未熟じゃなかったですか?教室の片隅から、口も聞いたことない運動部のキャプテンに恋をしたりとか。友達に頼んで、橋渡ししてもらったりとか。20代になったら絶対やらないようなこと、してましたよね?
それと同じで、20代の頃の恋愛と、30代、40代の恋愛では、どう考えてもコミュニケーションの基本スキルが違うんです。若い頃は、「付き合って」と言われたり、何度かデートして、「好きだ」的なアプローチがあって、それから付き合って、そういう関係になって、・・・みたいなパターンがあったかもしれないけど、いい年してきたら、そんなものはすっ飛ばしても大丈夫になる。
お互い暗黙の了解で、「あ、お互いいまいい感じですよね?」「進みますかどうしますか?」「あ、やっぱり違いましたね、やめときましょうか」みたいなことを、バババーっとやりとりできたりする。口に出さずに、お互いにさりげなく伝えて、それを読み取る形で。
いいなと思う人に、ある日メールでぐっと踏み込んだことを言ってみる。
相手に「あわよくば付き合いたい」くらいの好意があれば、絶対に食いつく。そうじゃない場合は、そこまでの好意はないってこと。
どんなに二人で会っている時に雰囲気がよくたって、相手から何かリップサービスされていたって、いざ踏み込んだ行動に出たときに、相手の真意はわかるもの。ちょっとでもひるんだり、他人行儀に返してきたら、それは、とりあえずNO。これ以上踏み込むのはストップ!のサイン。それは、メールの文章ひとつでわかるものです。
たとえば、「今度よかったら週末に二人で会いませんか?」なんて書いたら、もし気がある男なら、絶対に色よい返事を書いてきます。どんなにわかりにくい男でもそうです。
「いいですね!どこへ行きましょうか」と前のめりになって、あわよくば向こうからどんどん行き先を提案してくれるでしょう。もし万が一忙しい人の場合でも、「ぜひ行きたいです!でも今月は仕事で週末が埋まっているので、来月どうですか?」と遠くない未来に再提案してきます。
そこまで踏み込んでくるつもりのない男だったら、その時点で、紳士的にセーブした返事が来るはずです。「週末はいろいろと忙しいので、また今度仕事の後にみんなで。」なんて書いてきたら、それは体のよいお断りです。
上記の例はわかりやすく書きましたが、ちょっとした言い方の差、態度の温度差で、大人って言うのは、高度なコミュニケーションができるものです。
だから、年をとるほどに、恋愛で無駄な時間が減るのです。
お互いにわかってますからね。気のない相手に時間を使うほど、人生に余裕なんてものはないってことを。そして、どんな相手が自分の人生には必要なのかも。
若い頃は、ちょっと冒険する的な相手に、熱病のように恋をすることもよくあります。
全然住む世界が違うけど、好きになっちゃった!とか、メンヘラな女の子を好きになっちゃって、振り回されて修羅場だった!とか。
でも、年をとるごとに、人は自分の人生をともに歩む人を冷静に探し始めるようになります。だから、何度か会っているうちに、すぐに判断はついているのです。「この人は、自分の人生をともにしていく相手ではないな」と。
若い頃はそれでも、そういう冷静な判断に、恋愛感情が勝ってしまうものですが、年をとるごとに、「それはそれ、これはこれ」、と思うようになります。
つまり、恋愛と結婚は別物だ、パートナーを選ぶというのは、人生を選び取ることなのだって。
だからこそ、恋愛における判断は迷いなくなっていく。
絶対に違う、と思った相手に、ぐずぐず時間を割いたりしなくなるんです。だから大人の恋は、残酷なまでに、結果が出るのが早い。
何回か会う。最初はすごくいい感じだったのが、気がつくと、なんだかよそよそしいテンションになっていたりする。あー、これは、相手が「この子と付き合うのはないな」ってモードに入ったなって思う。それを敏感に察知したら、こちらも少しテンション下げる。
そして、無事「いいお友達」へ。みたいなね。
逆も然り。最初は、「素敵な人!」ってテンション上がってたけど、何回か会ううちに、「この人のペースじゃ私の望むような生活はできないかも・・・」と思う。そしたら、なんとなく態度をクール目に調整して、お互いに、大人な距離感に戻す。とかね。
お互いに、わざわざ「付き合いましょう」「やっぱり別れましょう」みたいなやりとりをせずに、一歩手前でギリギリまで近づいてみて、やっぱりやめるとか。特に告白などなく、グレーな関係になるけど、やっぱりないな、と思ったら、早々に関係を終わらせる、とか。
こういう成熟したコミュニケーションは、年齢相応のものを身につけないといけないのです。ずっと恋をお休みしてたりすると、どうしても、コミュニケーションの成熟度がどこかで止まっちゃってたりする。下手すりゃ40過ぎてても、20代初頭の気分で恋をしたり。そうなると何が起こるか。
40にもなって、「向こうから告白してくれなきゃ付き合えない!」とか言い出すわけです。いやこれ、大げさな話じゃなくて、実話ですよ。そういうこともあるんです。
そんなふわっとした恋は、もうとっくに適齢期を過ぎている。20代ならいいけども、30代には、30代の。40代には40代の恋の仕方ってもんがあるんです。
いい年になったら、ふわっとした恋なんかしてる場合じゃありません。
先がある恋なのか、ない恋なのか、くらいは見極めて、自分で自分の行動に責任持たなきゃいけません。
たとえば、30代も後半になったら、周りに既婚者があふれかえります。既婚者から言い寄られることだってるでしょう。そんなときも、「相手が強く来てくれて、私も好きだったから」なんてふわっとした乙女な態度で受け入れてしまうと、先々はただの独り身の不倫女です。大人の恋は、進んじゃいけないものに限って、変にロマンチックだったりするものですからね。
それよりも、自分の一生の相手として本当にふさわしいのか、ちゃんと見極めようとしている冷静な相手を見つけることです。そして、そういうちゃんとした相手、しかも何人かから、ちゃんとフラれることです。
「え?!フラれるのやだ!」って思うかもしれませんが、さっきも書いたように、フラれると言っても、まともな大人の男は、面と向かってフッたりしないで、さりげなく脈がないことをほのめかしてくれます。それを何度か経験するといいんです。
男だって、来る者拒まず何でも食べちゃう雑食系だけじゃないんです。
向こうだって真剣に選んでいる。それを知るだけでも、すごく良いことです。
何度か「選ばれない」「選ばない」経験をすれば、それが実は大したことじゃなくて、当たり前のことなんだってわかるはず。だって人生には、たった一度の正しい組み合わせがあればいいんです。それだけが見つかれば、恋愛人生は終りです。
そんな簡単に、一発で、運命の相手に出会えるわけないって思いませんか?
何人もの相手を吟味して、こっちも選んで、考えて、それで「やっぱりこの人だ!」って確信する。それまでは、試行錯誤を繰り返せばいいし、フッたりフラれたりしていいんです。そこを恐れていたら、何も始まりません。
いい歳したら、失恋は怖いでしょうが、いい歳だからこそ、失恋を恐れてはだめです。
それよりも、ふわっとした先の見えない恋に時間を費やすことを避けてください。
違ったら、何度でもやり直せばいいんです。誰か別の人と。
たった一人の人は、その中にきっといるはずですから。
恋愛部長 れんあいぶちょう
20代に恋愛で失敗を繰り返したことから、様々な独自の恋愛理論を編み出し、2008年から恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。過去の失敗談を披露したり、多くの人の恋愛相談に乗ったりしている。私生活では、38歳で留学を機に当時結婚を考えていた彼氏と別れ、40歳で知り合った現在の夫と結婚、出産。現在は、広告代理店で働くかたわら、1男1女を子育て中。著書に、『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。
HP: http://renaibucho.com
NOTE(恋愛相談): https://note.mu/renaibucho
カシワイ
装画や挿絵などのイラストレーションや漫画を描く。リイド社より単行本『107号室通信』を刊行。
HP: sankakukeixyz.wixsite.com/kfkx
instagram: @kfkx_
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Text: Renaibucho Cover Illustration: KASHIWAI