SEARCH GINZA ID

恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.24 「結婚したい女はおにぎり」説

恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.24 「結婚したい女はおにぎり」説

前回のお話… vol.23 半ナマ恋愛のススメ


その昔、私がまだ若くて、すごーーく痛い子だった頃の話です。
20代だった私は、会社ではイキがって煙草なんかくわえちゃって(その当時は、メンソールの細い煙草をくわえた女性がかっこよく見える時代でした)、上司や偉い人にも臆さず、ずばずば意見とかしちゃう、まあいわゆる「とがった」女子でした。
酒飲んでは難しい話をしたり、仕事の話で口論したり。「男性とは対等でいたい」が、その頃の私のキャッチフレーズみたいなものだった。まあ、自分のセルフイメージがきっと「ズバッとモノを言える、優秀な女」って感じだったんだなぁ。痛い、痛すぎる。

で、そんな若くて生意気な私を、いつもそばで見守り甘やかしてくれる年上の男性たちってのも、結構いるもので。基本的にはみんな紳士で、ただただ私の戯言を面白そうに聞いてくれてるだけだったんだけど。時々ね、ほんの時々ですよ?なぜか私を口説いてくる人もいたんです。既婚者で。
今思うと、最近の若い既婚者、特に子持ちの既婚者の方は、マジメで家庭的だよね。バブル世代の既婚者はなんか、ギラギラしてるって言うか。「俺っていい男だろ?」っていう無駄な自信(うぬぼれ?)に満ち溢れてた気がします(笑)。
確かに、そういう男は、みんな結構かっこいいし、パリッとしてて、仕事もできる。で、スマートに洒落たバーかなんかで酒飲みながら、さらっと口説いてくる。しかもかなり手慣れた調子でいやらしくなく。押しつけがましくもなく。

もし私が「既婚者お断り」の厳しい戒律の持ち主じゃなかったら、簡単に陥落ですよ。「え?こんな素敵な男性と付き合えちゃうなら、既婚者でもとりあえずいっか!」って。ふう、危ない危ない。私が、道を踏み外さなかったのは、ホント、たまたま。ラッキーでしかない、そう思う。
でも、たとえ自分が好きにならなくても、相手からガンガン口説かれたりすると、それはそれで悪い気はしないもので。こんな素敵な男性、しかも家庭がある人が!そう思うと、なぜかわけのわからない優越感が湧き起こったものです。罪悪感なんかじゃなくね。

今でも覚えてるんだけど、あるとき、自分をめっちゃ口説いてきた先輩の奥さんが会社に来ててバッタリ会っちゃったんですよね。で、その方がすごく美人でスラッとしてて、子どもがいるようにはとても見えない素敵な人だった。元CAさんだって周りはひそひそしてた。その奥さんを見て、当時の痛い女子の私は、こう思った。
「あんなに素敵な奥さんがいるのに、私を口説いてきたんだな」って。意味不明な優越感ですよ。バカですね。

それからも、何人もの仕事仲間の既婚男性に口説かれるたびに、無意識に思ってたと思うんです。
「この人の奥さんはすごい素敵な人って聞くけど、それでも私を口説くってことは、私のほうが上ってことよね」って。
自分は、仕事のことやそのほかの趣味について、彼と対等にしゃべることができる。彼は、私と話すのはとても刺激になって楽しいと言ってくれてる。「こういう奥さんだったらよかったのにな」って思ってるんじゃないかなって。そんな風にたぶん考えてたんだと思うんですよ。若い頃の私は。
でもね、その後、本気で既婚者に惚れちゃって、でも全然相手にしてもらえずに失恋して、いろいろ考えて、苦しんだ末に、ようやくわかったんです。男ってのは、ちょっとした浮気で手を出す女は、自分の本命とは別のタイプなんじゃないかって。

普段ずっとそばにいてもらって、一緒にいて心地いいのは、きっとソウルフードみたいな存在。何を言わなくてもわかってくれて、包容力があって、強くて、やさしい。だから毎日いっしょにいても飽きない。たとえるなら、おにぎりみたいな女。
で、毎日同じ味ばかり食べてると、たまーに別の味も食べて見たくなる。たとえば、刺激の強いエスニックフードみたいな。それがきっと、若い頃の私。
ちょっと変わってて、そこそこ会話が楽しくて。でも、一晩いっしょにいれば、十分。おなか一杯。毎日いっしょにいるのは、ちょっときつい。そんな存在。
だから若い頃の私は、既婚者に口説かれることはすごく多かった割に、若いフリーの独身男性から「結婚前提で」「まじめに」付き合おうと言われることはほぼなかった(爆)。
それどころか、付き合ってる彼氏にまで、「キミとの結婚は考えられない」って言われた。

そりゃそうですよね。話がどんなに面白かろうが、対等の関係性が刺激的だろうが、その当時の私は、自分が家に帰ってきて、一緒にいたい存在ではなかっただろうから。相当きつい女だったろうなぁと思います。
そのころ言われて、ガーンとなった言葉ですが、「家に男は二人いらない」。
まさに私にとって耳が痛い言葉でした。男勝りに仕事するのはいいとしても、プライベートに時間までバリバリギンギン仕事の話や小難しい議論を吹っかけてくる女なんて、家にいたら、くつろげないもんね。
もちろん世界中を探せば、そういう女が好みって言う男もいたでしょうが、私自身も、本当に家でそんなギスギスしたいのかって言うと、そんなことはなかったと思う。

要するに、勝手に自分で作り上げた理想を追い求めてただけというか。
自分だって家に帰ったらのんびりまったりして癒されたいくせに、男性に、そういう時間を提供しようっていう発想がなかったんですね。そりゃ、結婚したいって言われないわ。家に男は二人いらない。その頃の私は、自分が男になりたいだけの女だったのかもしれませんね。(「お嫁さんが欲しい!」とか言ってたし・・・。)

ちょっと話はそれてしまいましたが、何が言いたいのかと言いますと。
結婚って言うのは、結局、日常のことなんです。延々と続く日常生活。毎日飽きないことが何より大事。
飽きさせないために新しい刺激を用意しろってことじゃないよ。毎日食べても飽きない味。つまりはその人にとっての、ソウルフードみたいな女が強いってことです。
美人だろうが、地味だろうが、話が面白かろうが、無口だろうが、関係ない。その男性が毎日家に帰ってきて、くつろげる場所って言うのが一番。毎日一緒にいても気にならない、空気や水みたいになれるかどうかが、大事。

例えば、私の仲の良い夫婦で、「絶対に、話してて面白い相手とじゃないと結婚できないと思ってた」という二人がいて、いつ行っても、マシンガントークで、ボケと突っ込みを繰り返してます。もうずっとその調子で、毎日楽しそうに会話しているさまが目に浮かびます。彼らにとっては、笑いのツボとテンポが合う相手こそが、ソウルフードな相手なんでしょうね。
他人の物を奪おうというのはそもそもいただけないので、既婚者との恋愛ってホントやめたほうがいいですが、もしも既婚者に誘われて、心がグラグラしちゃったら、こう考えればいいんです。
そもそも自分は、奥さんに対してただの、「たまに食べたいエスニックフード」なんだなって。そうしたら、少しは謙虚な気持ちになるんじゃないでしょうか。ホント、過去の激辛ピリピリ女の私のことも、説教しに行きたい、今日この頃です。
皆さんも、どうぞお気をつけて。もしも結婚したいなら、たまに食べる刺激的なメニューではなく、誰かのソウルフードを目指しましょう。

恋愛部長 れんあいぶちょう

20代に恋愛で失敗を繰り返したことから、様々な独自の恋愛理論を編み出し、2008年から恋愛ブログ「恋はいばら道」をスタート。過去の失敗談を披露したり、多くの人の恋愛相談に乗ったりしている。私生活では、38歳で留学を機に当時結婚を考えていた彼氏と別れ、40歳で知り合った現在の夫と結婚、出産。現在は、広告代理店で働くかたわら、1男1女を子育て中。著書に、『28歳からの必勝ルール~恋愛部長の恋のムチ』『にっちもさっちもいかない恋がうまくいく本』(大和出版)。

HP: http://renaibucho.com
NOTE(恋愛相談): https://note.mu/renaibucho


カシワイ

装画や挿絵などのイラストレーションや漫画を描く。リイド社より単行本『107号室通信』を刊行。

HP: sankakukeixyz.wixsite.com/kfkx
instagram: @kfkx_
twitter: @kfkx_

Text: Renaibucho Cover Illustration: KASHIWAI

#Share it!

#Share it!

FOLLOW US

GINZA公式アカウント

関連記事

PICK UP

MAGAZINE

2020年11月号
2020年10月12日発売

GINZA2020年11月号

No.281 / 2020年10月12日発売 / 予価850円(税込み)

This Issue:
本のおしゃれ虫になる
GINZA読書案内

本を読む人
おすすめ187冊

...続きを読む

BUY NOW

今すぐネットで購入

MAGAZINE HOUSE amazon

1年間定期購読
(17% OFF)