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アップデートしたい、ジェンダーのこと。LGBTQ +、SOGI、ALLYについて改めて考えよう

アップデートしたい、ジェンダーのこと。LGBTQ +、SOGI、ALLYについて改めて考えよう

センシティブな話題だからといって、内緒話にはしたくない。これからの時代、マナーとして知っておきたい性にまつわる3つのトピックを紹介。


REINGの4人に聞きました!

【REING/リング】性別・人種・容姿などにとらわれない表現を追求するクリエイティブ集団。雑誌『IWAKAN』などを発行。

*左から
Wine(ワイン)>> マルチレイシャル、片耳難聴という特性を生かしダイバーシティ研修などを担う。

Riku(リク)>> プランナー。洋服デザインを学び、休日は服作りに勤しむファッションラバー。

Abo(アボ)>> REINGマネージャー。ジェンダーの違和をやさしい言葉で伝えるのがモットー。

Edo(エド)>> プランナー。『IWAKAN』編集者、ドラァグクイーン、アーティストとして活動。

LGBTQ+

エルジービーティーキュープラス>> レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クエスチョニング・クィアの頭文字をとった性的マイノリティの総称。「+」はこれら以外の性的指向。

Abo 私たちが携わるクリエイティブでは、必ず「LGBT」に「Q+」という2文字を加えるよう意識しています。性自認はさまざまなグラデーションがあって当然だから、個人個人へのリスペクトを込めて、絶対に表記したいワードだなって。

Wine 「Q+」と表記することで、これまでいないものとされてきた人たちを可視化できるから、私は「みんないるよ」というメッセージみたいだなって。最近は「LGBTQ+」が普及してきた気がするけど、どうして「Q+」が入るのか、省かれるならどんな理由があるのか、みんなにも考えてみてほしいかな。

Edo 特に「+」が大事。なぜなら性によってアイデンティティや文化が全然違うから。私が10代の時は「LGB」が主流で、L、G、Bのどれかに性を当てはめなきゃいけないことがすごく苦しかった。感覚が一番近いと思ったゲイカルチャーを覗いてみたけれど、筋トレにもピタTにもあんまりなじめなくて。そこに適応できない自分を責めかけた。だけど、勇気を出して別のマイノリティコミュニティに行ってみたら自然体でいられたし、居心地よく感じられたよ。だから、「+」の中から一人ひとりに合う性自認を見つければいいと思うな。

Riku 僕の中で「+」は、オルタナティヴロックみたいなイメージ。今まであったジャンルの型にはまらないものを指す言葉だと思う。だから肩身が狭いなんて思う必要はないし、それぞれのカッコよさがあるから、「+」でいることを誇ってほしいよね。だけど、最近は「LGBTQ+」だけじゃなく、それ以外にもいろんな呼び方や考え方があるから、混乱する人もいそうだよね……。

Edo 海外だと「LGBTQIA+」(I: インターセックス、A: アセクシャル)が主流だし、カナダでは「2SLGBTQ+」(2S: トゥースピリット)とも言われてる。まるで呪文みたいな複雑な響きだけど(笑)、それぞれにちゃんと意味があるんだよね。

SOGI

ソジ>> セクシャルオリエンテーション(性的指向)&ジェンダーアイデンティティ(性自認)の略称。性的少数者に限らず、すべての人が持つ属性を示す。最近は「SOGIハラ」というキーワードも。

Edo 「LGBTQ+」も大事だけど、私的に「SOGI」はもっと重要。ジェンダーってマイノリティだけの話だと思われがちだけど、「SOGI」は全員に当てはまるし、みんながフラットでいられる言葉だから、最高だなって!

Abo 「SOGI」って、人として平等であることや、他人にリスペクトを持とうという考えから生まれた言葉なんだって。

Riku 同じように、シスジェンダー(性自認と出生時に割り当てられた性別が一致する人)やヘテロセクシャル(異性愛)というワードが生まれたのも、すごくいいよね。マイノリティ以外の人もセクシャリティを選べるようになって、お互いのジェンダー的立場がフラットになったと思う。だから「SOGI」という言葉によって、いろんな人が生きやすくなればと期待してるよ。

Wine 全員が違って当然なんだってことを簡単に説明できる言葉だから、もっと世の中で使われてほしいよね。

Abo 最近聞くのは「SOGIハラ」。たとえば男の子のスカートやメイクを禁止する行為は、「SOGI」の考えからするとその人が表現したい性別を否定することになるので、ハラスメント。中でも「アウティング」は深刻な問題だね。本人の許可なく性的指向を第三者に伝えてしまうのは、最悪命を奪う可能性もある。日本は「SOGIハラ」への意識がまだ低いから、自戒も込めて、今はコミュニケーションを見直すいいタイミングだと思ってる。

Riku 僕も昔、SOGIハラを受けまくってた。地元の大阪で飲んでいたら、お店に居合わせた知らないおじさんから、自分がゲイバーで働いている前提で話しかけられて。僕はノンバイナリー(男女のいずれにも属さないと考える性自認)だと自覚しているから、勝手に見た目だけでアイデンティティを決めつけられるのはつらい。その時は聞き流してたけど、正直今でも忘れられないよ…。

Abo 何気ない一言にも注意したいよね。「彼氏いるの?」という質問も、恋愛することを前提としてるし、もし当人がアセクシャル(他者に対して性的欲求を抱かない性的指向)だったら、その事実を無理に告白させてしまう恐れもある。その話でよく思い出すのは、会社のファミリーランチの場面。同僚がパートナーを連れてきてるのを見て、ふと「私も彼氏と来たい」とつぶやいたら、Edoが「パートナーがいてもいなくてもAboは素敵。無理に恋愛する必要はない」と言ってくれて。その時自分は無意識に、“恋愛するのが幸せ”という文脈の中にいたんだと気づいて、以降は考え方を見直そうと思った。

Wine 私は企業に対してダイバーシティやジェンダーのワークショップを開くことが多いんだけど、会社内での研修中は「SOGIハラ」が起きやすいと感じていて。社内制度ひとつとっても、誰のために、なぜ必要なのかを見直さないと、ルールや仕組みに傷つく人がいるかもしれないよね。

 

ALLY

アライ>> マジョリティが、性的少数者に対する嫌悪や偏見を持つ価値観などの解消を促して、友好的な関係を築こうとすること。「味方」「連帯」という意味でも使われる。

Abo 「アライ」については、正直いろんな考えがあるよね。私たちの中でも捉え方が人によって違うくらい複雑な言葉。私の中では「行動する人」、つまり支援の気持ちを示して、自分の時間や権利をLGBTQ+の地位向上のために使う、マイノリティと共に行動する人というニュアンスなんだけど…。

Edo そういう人たちが増えるのは嬉しいけど、同時に「アライ」は自分が非当事者だという意識を強めている気もする。マジョリティとマイノリティの分断につながっていると思うから、「アライ」はあくまで入り口として考えてほしいな。

Abo たしかに。私はジェンダーについて喋る時に「当事者ではないですが」という枕詞をつけないようにしてるの。両者の溝を深めてしまう気がするから。

Riku すごく大事。上から目線になるのも気をつけたいよね。

Wine でも、「アライ」という“空気感”が生まれるのはいいんじゃないかな。私は感情的になると英語に日本語が混ざって、それを母語が日本語の人に笑われることがあるのね。だけど、ある人が「I’m you’re ally(きみの味方だよ)」と声をかけてくれて、すごくうれしかったよ。

Riku 立場を示す言葉としてじゃなくて、「アライな表現」「アライな態度」とか状態を表す形容詞として使うのがベターかも。

Abo いいね!いずれ、こういう考え方が当たり前になって、そもそも言葉を使って定義しなくてもいい世界になるといいな。

Riku ジェンダーの話題ってみんなセンシティブになりがちだけど、話さないと社会は変わらないし、どれだけ意識しても失敗することはある。仕事と同じように、人と関わって学びながら反省するのを繰り返すことで初めてジェンダー観が更新されると思う。

Abo まわりの人も間違いに気づいたら、サクッと訂正できるといいよね。私の大失敗は、ピンク色の服を着ていた小さい子を見たとき、直感的にピンク=女性だと思って「She」と言っちゃったの。そうしたらEdoが明るく、「男の子だよ!」と。普段からバイアスを意識していたからすごく落ち込んだけど、その失敗のおかげで意識が高まったし、自分自身も友達の誤解を指摘できるようになった。失敗して学んだことを誰かにシェアするのも大事なマナーのひとつだと思う。

Wine ジェンダーバイアスを確認できる「IAT」というテストがあるんだけど、Web上で質問に答えていくだけで、自分の無意識を振り返れるからおすすめだよ。

Riku あと、人のアイデンティティはジェンダーだけがすべてじゃないと知ってほしいな。僕自身、洋服や音楽といったカルチャーがほとんどを占めていて、性別はほんの一部。外見や性別だけでなく、いろんな方向から相手を考えられるようになるといいよね。

もっと知りたい!初心者さんへ

異なる視点で理解する

「ジェンダーには多様な考え方がある。まずは『イラストで学ぶジェンダーのはなし』(フィルムアート社)で基礎知識を、『あいつゲイだって』(柏書房)でアウティングについて当事者目線で知るところから始めてみては」(Abo)

宇多田ヒカルの1曲

「ノンバイナリーという言葉がなかった時代に、性に対するモヤモヤを歌った『BLUE』。誰がどんなものを好きになってもよいというメッセージに、強く励まされます」(Edo)

爽快なユーモアに学ぶ

「Netflixで観られるスタンドアップコメディからも楽しく学べる。レズビアンであることをカミングアウトしているワンダ・サイクスの話芸は圧巻&最高!」(Wine)

勉強よりも大事なのは

「知識だけ増やしても完璧になれない。最低限のジェンダー的マナーを心得たら、いろんな人と交流したりイベントに行ってみたり…実体験から学んでいくことが大切だと思います」(Riku)

Photo: Mikako Kozai  Text&Edit: Yoko Hasada

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GINZA2022年8月号掲載

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