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松田聖子の80年代伝説Vol.19 トップ・アイドルが歌うクリスマス・ソングが時代を変えたコンピレーション・アルバム『金色のリボン』 後編

松田聖子の80年代伝説Vol.19  トップ・アイドルが歌うクリスマス・ソングが時代を変えたコンピレーション・アルバム『金色のリボン』 後編

昭和から令和へと変わってもトップアイドルとして輝き続ける松田聖子さん。カセットテープ1本から彼女を発見し育てた名プロデューサー・若松宗雄さんが、24曲連続チャート1位という輝かしい伝説を残した聖子さんのシングルと名作アルバムを語る連載。80年代カルチャーで育ったライター・水原空気がインタビューします。第19回目は番外編。ちょうど40年前の1982年12月発売。アイドルがクリスマスソングを歌った画期的アルバム『金色のリボン』について。その後編です。

前回の『金色のリボン』前編も合わせてチェック。


付録の写真集も復刻されるほどの人気ぶり。

M それにしても『金色のリボン』というタイトルは秀逸です。『ジングルベルも聞こえない』という曲に登場するフレーズですよね?

そう。ファンの方へ感謝を込めて、記憶に残る作品にしたかったので。

M 1982年は、10月にソニーから世界初のCDプレーヤーが発売された年でもありました。聖子さんの『風立ちぬ』や『Pineapple』も世界で初めてCD化されるアルバムに選ばれて。大滝詠一さんの『A LONG VACATION』や、ビリー・ジョエルがグラミー賞を受賞した『ニューヨーク52番街』なんかと一緒に。

W CDは、ソフトとハードの両方を追求するソニーの一つの到達点だったからね。大変光栄なことでした。

そんな背景もあって、ビリー・ジョエルと聖子さんの食事や共演も実現したんでしょうね(前編参照)。聖子さんのアルバムが、CDプレーヤーの普及を後押ししたのは間違いないと思いますよ。『金色のリボン』は『HAPPY SUNDAY』の収録も嬉しかったです。

W 聖子のFM番組の主題歌だよね。グリコが提供していた「ひと粒の青春」。あとは映画『野菊の墓』の挿入歌「野の花にそよ風 〜サブテーマ「雲」」もいい曲でした。

M もうイントロだけで草原が見えてきます。当時、聴きながら「民さんは野菊のような人だ」って毎日つぶやいてました。

W (笑)おかげさまで映画もヒットしました。聖子の曲がみなさんの青春の1ページになっているなら、こんな嬉しいことはないです。

M 『野ばらのエチュード』の別バージョンもかなりレアです。

W 本当はシングルをもっと派手にしたかったから、大村雅朗さんに別バージョンを作ってもらったんですよ。

M ストリングスが効いていて壮大なイメージ。聖子さんの歌い方も曲調に合わせてシングルと、また違いますよね。1982年は聖子さんが、初めての武道館コンサートを開催した記念の年でもあります。タイトルは「Christmas Queen」、12月25日の開催でした。このアルバムは、そこにもつながっていたんですね。

そうでした。あれから100回以上も武道館公演を続けてるなんて、すごいよね。翌年にコンサートを監督した伊集院静さんは、自分が推薦したんです。伊達歩というペンネームで作詞しているのは知っていたけど、才能溢れる方で、ゲネプロの時に「とても、いい感じですね!」と、お話ししたのをよく覚えています。

 

80年代の青春を彩ったベスト盤の数々をここに!

松田聖子の80年代伝説|『Seiko・Plaza』

『Seiko・Plaza』1983年11月11日発売。発売当初は豪華2枚組で、さらに聖子さん作詞の『小さなラブソング』と松本隆・大村雅朗コンビによる『WITH YOU』がボーナスシングルとして付いていた。デビュー曲から『ガラスの林檎/SWEET MEMORIES』までのシングルの他、『赤いスイートピー』B面の『制服』など、今も愛されている名曲が連なる。

M ベスト盤も全部若松さんが企画していたんですか?

W もちろん。今回はB面コレクションにしてみようとか、次はユーミン作品集にしよう、その次は聖子の自作曲を入れてみよう、などとアイデアを出してね。私がプロデュースしていた時期は選曲も含めて全部していました。もちろん、レコード会社的には年末に向けてセールスを積み上げたいという思いもあったと思うけど、より多くのファンの方に聖子を知ってもらう、いい機会でしたから。

M では若松さんの冬のおすすめを3曲選ぶとしたら?

W やっぱり『冬の妖精』だね。大滝詠一さんの世界が、イントロのギターの一音目からバーッと広がる。それから『真冬の恋人たち』と『白い恋人』もいいねー。大村雅朗さんのアレンジが実にいいんです。大村君は、詞を活かすアレンジだから、毎回「若松さん、今回の詞はどんな感じですか?」と聞いてきてくれて。だから歌の世界が心に残る。

M 私は『December Morning』も大好きです。「風花」って言葉が本当にきれいだなと思って、辞書で調べて感動して、また聴いていました。

W 私も大好きです。松本隆さんの文学的な詞と聖子の声は、運命と思えるくらい相性が良かった。

最近はクリスマスも静かで、正直、バブル期のお祭り騒ぎが懐かしかったりしますが(笑)。

遊びの部分があまりない時代だからね。余裕とか隙間とかって、すごく大切なんです。例えば、歌がない世界って本当に寂しいと思うよ。仕事も遊びが大切です。

M 聖子さんの作品は、まさにクリエイターたちの遊び心が満載。『金色のリボン』のオリジナル曲の『Blue Christmas』や『星のファンタジー』は、クリスマスの定番ソングのエッセンスがさりげなく入れられているので、サウンドからも、クリスマスのロマンチックさが伝わってきます。

W その辺も。さすが大村君だよね。

日本の冬のイメージを明るく変えたのも、80年代の聖子さんと若松さんのすごさだと思います。70年代までは寒くて暗いイメージでしたが。

W ありがとうございます。今はクリスマスを静かに過ごす人も多いけど、私はそれもいいと思いますよ。そんなときに改めて聖子のクリスマスソング、聴いてみてほしいです。年末は、誰もが大切な人のことを想って過ごすのが一番だからね。それぞれの形で、想いを伝えながら過ごすのもいいかもしれません。

Profile

若松宗雄/音楽プロデューサー わかまつ・むねお

一本のテープを頼りに松田聖子を発掘。芸能界デビューを頑なに反対する父親を約2年かけて説得。1980年4月1日に松田聖子をシングル『裸足の季節』でデビューさせ80年代の伝説的な活躍を支えた。キャンディーズ、松田聖子、PUFFY等を手がけ、ソニーミュージックアーティスツの社長、会長を経て、現在はエスプロレコーズの代表に。Twitter、YouTube「若松宗雄チャンネル」も人気。『松田聖子の誕生』(新潮新書)が絶賛発売中。

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Text: Kuuki Mizuhara Photo: Miyu Yasuda

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