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小さい目標に夢中になろう、なりたい自分への補助線の引き方。スモールビジネスのススメ vol.01 

小さい目標に夢中になろう、なりたい自分への補助線の引き方。スモールビジネスのススメ vol.01 

「アクセや小物を手作りして売りたい」「自宅で料理サロンを開きたい」など、好きなことの延長でスモールビジネスを起業したり、ライフワークになるような兼業をしてみたいと憧れる人は多いはず。
新しいことにチャレンジしたいけれど、夢に近づく第一歩をどう踏み出せば良いかわからない女性に向けて東京大学を卒業後、外資系企業を経て、農家での経営改善が話題となっている、“改善のプロ”・佐川友彦さんに考え方のコツを聞きました。
第1回目は、目標の立て方について。最終的な目的地は決めずに、方向性だけ決めて船を漕ぎ出す佐川流の目標達成とは?


●はじめまして、佐川友彦です。

こんにちは。畑に入らない“農家の右腕”として、全国の愉快な生産者さんたちと課題解決に取り組む日々を送っている佐川友彦です。
前職は外資系メーカーの研究開発職でしたが、思い切って農家に転職してみたら、新しい働き方とやりがいを見つけ、社会貢献まで志してしまった、という人生を送っています。インターンで入った栃木県の梨農家での「100の経営改善」をきっかけに、改善の専門家として農家さんとの取り組みを行っています。
キャリアを脱線しながら、現場で答えを見つけて解決を重ねてきた僕の経験が皆さんの役に立ったらと、夢に向かうための小さな習慣改善を提案させていただきます。

 

●なりたい自分を把握できている?

自己実現を考えたときに、なりたい自分をイメージして進んでいくと思いますが、そこには実は落とし穴があります。僕は元々環境に興味があって、環境問題で社会に貢献していきたいという想いを持って生きてきました。

小さい頃の夢は環境大臣。大臣には向かわなかったものの、大学もそうした進学をして、就職先も太陽光発電の研究と望むような道を歩んでいました。
ですが、環境問題に貢献するという目的は達成できていたものの、手段として研究を選んだのは自分にはフィットしていなかったんです。手段が好きになれないまま、道を進めていたけれど、本当は物づくりや、人と関わったりすることが好きな人間でした。それが仕事で発揮できていないのが、モヤモヤとしていた原因だったんです。また、色んな仕事を経験したい思いがあり、一つのことを極める研究には向いていないと感じました。

自己実現というと「やりたいこと」、「稼げること」、「社会的に意味があること」、「得意なこと」の4つの丸が重なることが良いといわれますが、その丸に目的は定められても、手段が正しく選べていないと、楽しい働き方や自己実現に繋がりません。これがなりたい自分を考えるときに気をつけるべき点です。

自分の場合は、ファーストキャリアでこの食い違いに気がついて、既定路線を飛び出し、自分探しを経て農業の道に入りました。小さな梨園でしたので、人事、営業、広報と様々な業務に携わることができましたし、人と深く関わる職業だったことが今度こそ、手段の面でも自分の性には合っていたと思います。

 

●最終目的のベクトルだけ決めて、進んでみる。

では、目的ができたときに、どう近づいていくかというと、在りたい姿を先に決めて、スモールチャレンジをするということが大切です。時代的にも目的地を1箇所だけ定めて、何年もかけて準備するという時代ではなくなってきました。社会的な意味を考えるより先に、自分が人生の中でやりたいこと、在りたい姿をイメージして、何年後までにどうなっていたいかをまず考えます。

それに向けて今こういう勉強をしよう、感性をこう育てていこうということから先に設計すると、すぐに仕事には繋がらなくても、スキルやネットワークを広げる中で、扉が開けたり、船がきたときの成功確率が高まります。最終目的地はそこまで堅苦しく決めず、ベクトル(方向性)だけ決めてあげるということですね。

私のベクトルだと、社会の役に立ちたいとか、小さなスキルを使い分けながら数多くの業務に携わる、というようなものがありました。
まだベクトルが見えていない人は、過去の自分の仕事やこれまでやってきたことを振り返って、自分が気持ちよく続けてこれたことや、振り返っていい想い出になっていることとか、原体験を掘り起こしてみると良いと思います。
コアになっている価値観はそれほど変わらないはずですから、そこから境界線を広げてあげたり、ちょっと軸をずらしてあげることで見つかっていくと思います。

 

●小さな目標達成で自分を飽きさせない。

ベクトルが決まったら、小さく達成していき、自分を飽きさせないことが大切です。僕自身の成功体験としては、働いていた阿部梨園で行った「小さな100の経営改善」です。

インターンとして入ったときに、農園を現場目線で見渡してみると、課題山積でした。そこで「300時間で100件」の改善を行うことを目標に、事務所や作業場などの環境から、梨の出荷や接客など、全てにおいて改善できそうな箇所を洗い出し、ボトムアップで改善していきました。“小さいことに忠実に”を合言葉に、どんなに小さなことでも改善していこうと動き出したことで、阿部梨園の物語が始まっていったのです。目標は小さい方が機能します。すぐ実行でき、すぐ結果が出て、続けやすいからです。遠大な夢の前に、まずは小さい目標を数多く集めて、自分を変える練習をしてみませんか。

課題の山は可能性の山です。目標に向かうベクトルが定まったら、小さな目標達成をしていきながら、夢に漕ぎ出してみてください。

佐川 友彦 さがわ・ともひこ

1984年生まれ。東京大学農学部、同修士卒。外資メーカーDuPont社の研究開発職を経て、2014年9月より栃木の阿部梨園に参画。阿部梨園では代表阿部の右腕業として、経営管理、企画、経理会計、人事労務など、経営に関するオフィス機能の全てを担当。その改善実例300件を公開するクラウドファンディングを実施し、300人以上から約450万円の支援を集めて話題を呼んだ。現在は、経営コンサル等を行うファームサイド株式会社を起業。2020年9月、ダイヤモンド社より『東大卒、農家の右腕になる。小さな経営改善ノウハウ100』を出版。

Illustration:Hiroaki Seto Text: Mariko Kojima Edit: Karin Ohira

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