G’s FILM REVIEW 残酷な真実をコメディタッチで問う『ジョジョ・ラビット』etc.

『ジョジョ・ラビット』

第二次世界大戦下のドイツを舞台に、空想上の友達アドルフ・ヒトラーに励まされながら立派な兵士になろうと奮闘する10歳の少年が、ユダヤ人の少女と出会い、戦争の過酷な真実と向き合うことに。敵味方に分断されがちな小さな世界から一歩踏み出し、知らないを知っていく、愛についての物語だ。空想上のヒトラーをコミカルに演じたタイカ・ワイティティ監督が、未来を背負う子どもたちのために大人たちが今できることを問うコメディ。

全国公開中。©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation &TSG Entertainment Finance LLC

『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』

小説の違法流出を恐れた出版社が、各国の翻訳家を地下室に隔離し、翻訳を行ったというダン・ブラウンの小説『インフェルノ』の出版時の実話をもとに、『タイピスト！』のレジス・ロワンサルが手がけるミステリー。『このサイテーな世界の終わり』のアレックス・ロウザーらが出演。音楽は三宅純が担当。著者の裏方として通常は表に出ず、世界中に物語を届ける翻訳者らが主人公となり、原稿を流出させた容疑者として物語を撹乱するさまが痛快である。

全国順次公開中。© (2019) TRÉSOR FILMS – FRANCE 2 CINÉMA – MARS FILMS- WILD BUNCH –LES PRODUCTIONS DU TRÉSOR-ARTÉMIS PRODUCTIONS

『ハスラーズ』

リーマン・ショック後、ニューヨークのストリップクラブで働く困窮した女性たちが、金融危機を引き起こしたウォール街の金融マンをカモにし、大金をだまし取った実際の事件についての記事に着想を得てローリーン・スカファリアが映画化。奇跡の50歳、ジェニファー・ロペスことJ. Loのポールダンスシーンは、もはや神々しいほど。『クレイジー・リッチ！』とはまた異なる魅力を放つコンスタンス・ウーとのシスターフッドの力強さに泣く。

2月7日（金）よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。©2019 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.