26 Mar 2020
G’s MUSIC REVIEW インスタの妊娠報告で話題のグライムス、待望のアルバム『ミス・アントロポセン』etc.

『ミス・アントロポセン』
グライムス
先日、膨らんだお腹に胎児を描いた写真を投稿し妊娠を発表したグライムス。出産を前に5年ぶりの待望のアルバムをリリース。音楽やファッションで時代を体現し、次世代のアイコンとなった彼女の新作は「気候変動の女神」がコンセプト。人類の絶望を各曲で具現化したのだそう。グライムスらしいドリーミーワールドに浸っていると、硬質なサウンドでハッとさせられる。シリアスなメッセージを女神の視点に込めた、聴く短編映画のような世界観。
(Beat Records / 4AD)
『ザ・キッズ・アー・カミング』
トーンズ・アンド・アイ
オーストラリア出身トニー・ワトソンのソロ・プロジェクト。シンガーの夢を追いながら小売店に勤めていた彼女は、2018年に仕事を辞めワゴン車で暮らしながら路上パフォーマーに。その年の秋には同国の大会で優勝、大ヒット曲「ダンス・モンキー」は豪・英チャートで連続1位の記録を塗り替えるなど、ストリートから瞬く間に世界に求められるスターになった。たくましさと切なさが混在するハイトーンボイスが曲の個性をより輝かせる。
(ワーナーミュージック・ジャパン)
『ザ・スロウ・ラッシュ』
テーム・インパラ
今年も世界のビッグ・フェスにトリとして発表されている今もっともクールにサイケデリック・ロックを鳴らすバンド、テーム・インパラ。カニエ・ウェストやマーク・ロンソンらとのコラボでジャンルをまたいで支持されるフロントマンのケヴィンが、“時の流れ”を表現したと語る4作目。フォトグラファーのニール・クラッグによる意味深なアートワークは環境に吸い込まれる人間をテーマにしていて、彼らの音楽に埋もれていく感覚と見事にリンクする。
(Caroline International)
Recommender: 奥浜レイラ
音楽・映画まわりのMC。急遽2月21日にリリースが決まったキング・クルールの新譜もオススメ。
GINZA2020年3月号掲載