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G’s BOOK REVIEW 2篇の名作を奇跡のマンガ化『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』etc.

G’s BOOK REVIEW 2篇の名作を奇跡のマンガ化『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』etc.

『幼な子の聖戦』

木村友祐

幼な子の聖戦

(集英社/¥1,600)

時代は変わる。時代は変わらない。《女が女の尊厳を訴えるという事態は前代未聞》で、《多数派に属する安心感》を求める大人がひしめく村で物語は進む。主人公と幼なじみは村長選に向け奮起する。事件が、妨害が、企まれては成し遂げられたり失敗したり。力を持たない人たちの思いを手がかりに、青森も東北も日本の国境さえ越えて、世界のあちこちに通じる社会の姿が活写される。いつしか本から南部弁が聞こえてくる表題作と「天空の絵描きたち」を収録。

 

『草地は緑に輝いて』

アンナ・カヴァン

草地は緑に輝いて

(安野玲訳/文遊社/¥2,500)

その死から半世紀を経てもなお読まれ愛され続けるフランス生まれの英国人作家の作品集。運命的に現れる草地はエメラルドを思わせるほどにまばゆく輝き、優美な館の庭では鳩の雛が生まれている。父は娘に幸福を意味する名を与え、船上から眺めた都市は素晴らしい新生活を予感させる。それなのに、文字を見つめるうちに景色は翻り、思わぬ変貌を遂げて読み手を凍りつかせる。幻想と美と色彩が張り巡らされた13の短編と中編を収める。

 

『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』

森泉岳土

(河出書房新社/¥1,100)

水で絵を描き墨の滴を落とし、爪楊枝と割り箸で線を引く。そんな技法で描かれる漫画がある。女と男の真っ黒な瞳に見つめられながらページをめくれば、モノクロームの豊かさに、絵の力に圧倒される。村上春樹による『ノルウェイの森』のプロトタイプともいえる短編と、ジョージ・オーウェルによる、現代社会を予見したかのようなSF長編。ふたつの小説に導かれて「愛」が絵となり形をとり、想いが、言葉が、自由と未来への祈りになっていく。

Recommender: 鳥澤 光

ライター、編集者。森泉岳土『カフカの「城」他三篇』や、『セリー』などオリジナル作品もぜひ!

GINZA2020年4月号掲載

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