『ピエタとトランジ〈完全版〉』
藤野可織
(講談社/¥1,650)
《トランジのそばにいるとみんな死ぬ》。事件を誘発する特殊体質を持つトランジと、高校で彼女と出会って以来、親友として、助手として、一緒に事件を捜査するピエタ。2013年に発表された女子バディものの短編が、エンタメ長編になってカムバック!目次には12の「事件」が並び、少女たちは年を重ねながら事件に挑み、それを楽しむ。80歳を越えたってアイスを食べ、そしてこぼす。オリジナルから読むか?長編に飛びこむか?どちらもおすすめです。
『チェリー』
ニコ・ウォーカー
(黒原敏行訳/文藝春秋/¥1,950)
ドラッグ、大学、従軍と帰還。ドラッグ、結婚と離婚、銀行強盗。現実が性に合わないアメリカ人の青年は、イラク戦争に派遣されれば、兵隊も軍隊も《全部ふりなんだ》と感じる。ヘロインを打っては期限つきの安らぎを得、薬を手に入れるために犯罪に歩み寄る。獄中で、タイプライターで書かれた文章は、リズムを変え場面を変えながら、人が抱える寄る辺なさをザクリザクリと掘り起こす。トム・ホランド主演で映画化も決定した話題作。