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G’s BOOK REVIEW 世界各地の悲しみの地名を綴るダークな反・旅行書etc.

G’s BOOK REVIEW 世界各地の悲しみの地名を綴るダークな反・旅行書etc.

『少年トレチア』
津原泰水

『少年トレチア』

(ハヤカワ文庫/¥1,200)

高層団地が立ち並ぶ新興住宅地・緋沼サテライト。東京郊外の小都市で囁き交わされる「トレチア」という言葉。人名? 地名? 事故を誘発する呪文なのか暴力の合図なのか? 学生帽と白い開襟シャツに身を包み、悪意と無垢を翻しながら「謎」が翔る。証言、記録、人の記憶は、絶えず交差しながらもひとつの像を結ばせない。緻密に配された美しき言葉が、カタストロフィさえ玉虫色に光らせる。トラウマ必至の長編ミステリー、待望の復刊!

 

『保健室のアン・ウニョン先生』
チョン・セラン

『保健室のアン・ウニョン先生』

(斎藤真理子訳/亜紀書房/¥1,600)

私立M高校には目に見えない何かが蠢き、保健室にはアン・ウニョン先生がいる。バッグの中にはBB弾を詰めた銃とレインボーカラーのオモチャの剣。死者は微笑み、生者は透明の粘膜に包まれ彼女の前を横切っていく。ファンタジーと日常が隣り合わせになりながら、集団から弾かれてしまう人、心の置きどころを見つけられずに迷っている人の手を引っ張りあげてくれるオムニバス短編集。Netflixでドラマ化も決定した韓国文学の現在地。

 

『世界でいちばん虚無な場所
旅行に幻滅した人のためのガイドブック』
ダミアン・ラッド

『世界でいちばん虚無な場所--旅行に幻滅した人のためのガイドブック』-

(菅野楽章訳/柏書房/¥1,800)

「絶望」「失望」「破滅」に「虐殺」、「世界の終わり」と「死」。世界各地にちりばめられた悲しみの地名を材にとった不思議な本。著者はGoogle Mapに言葉を打ちこみモニター越しに旅をする。グローバリズムと資本主義、そして宗教が地図上に刺してきた漆黒のピンを巡っては、地名の由来を、歴史を紐解き、読み手を南極へ、アメリカへ、ヨーロッパへ、青木ヶ原へと連れ出す。異文明遭遇小説のような読み心地を湛えたダークな反・旅行書。

Recommender: 鳥澤 光

ライター、編集者。津原泰水『妖都』『ペニス』も連続復刊。底なしに美しい、幻想の世界へ!

GINZA2020年6月号掲載

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