28 Jun 2020
G’s FILM REVIEW 久しぶりの映画館ではこの作品を!今泉力哉監督新作etc.

アフリカ系アメリカ人の高校生ルースは、幼い頃エリトリアで戦場へ駆り出されたトラウマを持つが、7歳で“自由の国”アメリカの移民になり、誰からも称賛される優等生に成長。だが、歴史教師ハリエットが、ルースは危険な過激思想に染まっているのではという疑惑を持ったことから、白人の養父母にも疑念が生まれる。果たしてルースは聖人か怪物かを監督ジュリアス・オナーは問う。人をその型にはめるのは、いつだって周囲の人間なのだ。
全国公開中。©2018 DFG PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.
不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ夫婦と中学生で妊娠し子どもを手放さざるを得なかった幼い母。それぞれの人生を描いた辻村深月の同名小説を河瀨直美監督が映画化。河瀨監督がとらえた、永作博美、井浦新、蒔田彩珠らの役者たちが見せる脚本からはみ出た感情のさざなみに、「自分だったらどうする?」をすべてのシーンで想像せずにはいられない。エンドクレジットは席を立たずに、朝が来る瞬間を最後まで見届けてほしい。
2020年10月23日(金)公開予定。©2020「朝が来る」Film Partners
Recommender: 小川知子
ライター、編集者。こんな時世だからこそ、救ってもらった映画館に恩返しをせねばと思ってます。
GINZA2020年6月号掲載